イタリア時間でびとくらし

イタリア時間「お正月」

イタリア生活で見つける「びとくらし」

イタリアでの日常生活の中にある、すこしだけ幸せに感じたり、すこしだけリラックスできたりするような「びとくらし」的な出来事を、マルケ州アンコーナ住まいのライターが紹介します。

イタリアに暮らす彼女の話しを聞いていると、度々、イタリアでは日本と全く違う時間が流れているように感じることがあります。しかもとても豊かな時間でした。時間の流れの違いの中に豊かさの理由が隠されているように思えてなりません。ぜひ、この理由を一緒に探してみませんか?

日本とはちょっと違うイタリアでのお正月

日本で言う「お正月」と言えば1月1日。
私の実家では家族全員が朝一番にひとところに集まり、新年のあいさつをし、おせち料理をいただいくというのがいわゆる1月1日、元旦の過ごし方です。
お正月を迎えるために、その準備としては大掃除や年賀状の準備、おせち料理の準備など12月は忙しなく過ぎていくのは皆さん共通のことだと思います。

さてここイタリアではどうなのかと申しますと、イタリアでのお正月はいたってシンプル。
お正月がシンプルというよりも、カトリック教徒が多いイタリアでは”Natale(クリスマス)”の方が重要な行事で、12月は世の中はこのNataleの為に動いていると言っても過言ではありません。

イタリア語ではお正月は「Capodanno(カポダンノ)」と呼ばれます。
”Capo d’ anno” が省略されたものになり、Capoが”頭”、d’は”~の(英語で言う”of”)、そしてannoが”年”を意味しますので、まさに年の頭で1月1日の始まりそのものを指しています。
Nataleがとても大切だからといって、Capodannoを楽しまないわけではありません。
宗教行事として大切なNataleは主に家族で過ごしますが、Capodannoは気の合う仲間同士で集まってワイワイと楽しむ事が多い様です。
ですので年末で挨拶の次に「Capodannoは何をする予定なの?」と聞かれる場合がよくあります。海外や山スキーなどの予定を立てている人も多く、「聞き合う」というこの作業が見栄っ張りの多いイタリア人たちのお互いの自尊心をくすぐっているなぁ、といつも感じてなりません。

Capodannoに欠かせない三種の神器
「花火」「シャンパン」「レンズ豆の煮込み」

さて、イタリアでのCapodannoという言葉ですが、そもそも日本で言う三が日のような期間ではなく、お祭り気分で楽しまれ、まさに”年が変わるタイミング”を定義しています。
ですので「Capodannoは何をするの?」という質問は、新しい年が始まるタイミング=12月31日~1月1日の夜の予定を聞いていることになります。
上にも書いたように多くの人が友人たちと連れ立ってレストランにでかけていきます。
食事のスタートはだいたい8時くらいから。
この日はレストランの多くが、Cenone(チェノーネ=大きな夕食)と呼ばれる特別メニューを用意していて、すべてのお客様がみんな同じメニューをいただくことになります。前菜から始まり,プリモ(多くの場合が2種類あります)、セコンド+副菜、デザート、と順を追ってお皿を用意し続ければならない伝統的なイタリア料理の形態。メニューを一緒にすることで一気に食事を提供することができるます。結婚式でのおお食事サービスをイメージしていただいたら良いかも。
かき入れ時にできるだけ多くのお客様を獲得する為の良案ですよね。こういうところもとってもイタリア人らしい合理的思考だなと感心させられます。

こうやって食事をとりながら、ただひたすら午前0時になるタイミングを皆で待つのです。
食事時間はゆうに4時間。本当に長い。

そして新年は世界各国共通のカウントダウンで迎えます。
その瞬間に外ではほうぼうで花火が打ち上げられます。
花火を楽しみながらシャンパンをポンと空け(もちろん、イタリア産のスプマンテの場合が多いです)みんなで乾杯とお祝いの言葉を交わします。
その後に振る舞われるのが「レンズ豆の煮込み」。ザンポーネやコテキーノと呼ばれる豚肉料理が添えられることも多いですが、大切なのはあくまでもレンズ豆なのです。

新年の始まりに食べられるレンズ豆「Lenticchie per Capodanno」

レンズ豆はイタリアではLenticchie(レンティッキエ(複数形))と呼ばれ、日常的に食卓にあがる豆の一種になります。ですので、スーパーでも簡単に乾燥タイプや水煮タイプなどを手に入れることが可能です。

では、なぜレンズ豆が食べられるのでしょうか?
日本のお節料理と同じようにこれには意味があります。
レンズ豆の丸い形をコインと見立て、「今年一年、お金に困らないように」という願いが込められているのです。
そこにザンポーネやコテキーノと呼ばれる豚肉料理を添えるのですが、文献によるとあくまでもレンズ豆を美味しくする為の添え物だということ。
ザンポーネは豚足、コテキーノは豚の皮に豚肉や香辛料を詰めたもの。今となってはちゃんとした一品料理のように見受けられますが、元々は貴族階級などが食する豚肉の主要部分以外の端肉を使った農民用の食品になります。今から500年ほど前にエミリア・ロマーニャ州のモデナで生まれたとされており、モデナ産のコテキーノはヨーロッパの原産地名称保護制度を受けています。

ちなみに今年の私のCapodannoはお友達のお宅でパーティーでした。
食べるものもドリンクも持ち寄りの会でしたので、主人からレンズ豆の煮込みを作るようオーダーを受け、初めてながらトライしてみました。
とても簡単に美味しく出来ましたので、ここでご紹介させてもらいますね。
ぜひ来年のお節料理の一品にどうぞ!

 

材料
乾燥レンズ豆 300g
人参 1本
玉ねぎ 1個
セロリ 1枚
ローリエの葉 3枚
ローズマリー 2本
野菜のブイヨン 500CC
オリーブオイル 適量
塩 適量
こしょう 適量

・つくり方
1. レンズ豆は2時間以上水につけておきます。その後水でしっかり洗いボウルで水切りをします。
2. お鍋にオリーブオイルれ温め、そこにみじん切りにした玉ねぎ、人参、セロリを加え炒めます。
3. 2に、1のレンズ豆を加え炒め、野菜のブイヨンを入れ、ローズマリー、ローリエを加えます。
4. 約20分程度煮込み、豆が柔らかくなったら香草を取り出し塩コショウで味を整え出来上がり。

こちらの写真は、結局、持ち寄りパーティー用にと主人がガストロノミアで予約したレンズ豆とコテキーノ。ここでもやっぱり見栄っ張りな一面が。
私が作ったレンズ豆の煮込みは30日にあった我が家でのパーティーにて美味しくいただきましたのでご心配なく。

 

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Atsuko Niwa

イタリア在住。現在はワインや蜂蜜を日本に輸出する業務に携わり、翻訳、日本語教師なども徐々に行っています。

出版広告業界を経て、その後15年弱、不動産業界の広報・採用業務に携わる。40歳目前に違う世界を見てみたくなりワイン業界へ転身。イタリアに興味を持ったのは、様々な種類があり個性豊かなイタリアワインをよく飲む中で、イタリアワインについているエチケットが自分で読めたら、もっとワインを愉しめるのではないかと思いイタリア語を習い始めたのがきっかけ。 その後、3ヶ月間イタリア旅行へ行き、アモーレと出会い、41歳の冬にイタリアに渡り、現在に至ります。

AIS認定ソムリエ、WSET Level2(ワインを理解するうえで不可欠な知識を得ることを目指すイギリスの資格)。

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