写真で日常を切り取る、びとくらし
「びとくらし」のトップのメイン写真をいつもご提供いただいている、嵐祥子さん。
いつもの日常も切り取り方、感じ方次第で特別な日になることもたくさんあります。
そんな切り取り方を少しのぞかせていただきます。
「みどりいろの季節に」
常緑樹に混じり青葉がひらいて、
いつも見ている山々は、みずみずしい若みどりいろにつつまれました。
陽が出ている時間が長くなり、木陰を探して歩きたい季節です。
それでも午前中の空気はまだ爽やかで涼しく、休日、近所の公園へ散歩に出かけています。
公園を歩いていると、足もとがなんだかフカフカしているなと感じ、
下を見ると芝生やシロツメクサが育ってきています。
上を見ると青もみじ、ケヤキやプラタナスが黄みどりいろの葉を広げていて、
照りかえる光は目を閉じてもまぶしいほどです。
5月のある日。
息子が保育園のお散歩に行った公園で、10cmほどの背丈の草をたくさんつみ、
ナイロン袋に入れ「おみやげだよ」と手渡してくれました。
どっさりの草の束…公園に群生している、あのお花かな…と推測。
小さな手でつんでくれた様子を想像すると、とても大切なものに思え、その草花の名前を知りたいなと植物図鑑をひらきました。
昔から身近な場所に、ピンク、白、藍いろなどの小さなかわいい花を咲かせている「庭石菖(にわぜきしょう)」とわかりました。
花言葉は「繁栄、豊かな感情、豊富」と贈りものにぴったりでした。
水差しがわりのコップに活けてしばらく、葉っぱのあいだから見えてきたのはうす紫いろのつぼみ。
そして6枚の花びらが開きました。
人生で何度目かの花束。
素朴な野の花も良いものです。