写真家からみえる景色

「雨上がりの道」

写真で日常を切り取る、びとくらし
「びとくらし」サイトトップのメイン写真をご提供いただいている、嵐祥子さん。
写真家ならではの視点や、景色の切り取り方、毎日の暮らしぶりを写真と文章で伝えいただきます。

「雨上がりの道」

梅雨の後半、西日本では天気予報どおりの雨の日が続いています。
「いつ止むんだろう」と心配になるほど、ザーザーとたくさん降る日もありました。
我が家の窓には、てるてる坊主が2体ぶらさがっていますが、なかなか効果は出ないようです。

今年は誕生日に傘をプレゼントしてもらい、いつ使おうかと楽しみにしているのですが、残念ながら強すぎる雨。初おろしを見送り、しばらく出番待ちをしています。

近所を息子と歩いているとき、おおきな水たまりを見つけると、きまって「いっしょに入ろうよ」と誘ってくれます。

でも防水フル装備の彼と違って、わたしは傘のみ。服につくだろう泥汚れに、ぐっしょり濡れる靴のケア…後のことを考えると、今のところ不参加です。

汚れを気にせず遊ぶのは、きっと格別だろうなと思いつつ、長靴で楽しそうにじゃぶんじゃぶんと水をすくいあげている彼を通して、間接的に体験させてもらっています。

ある日の真夜中。
強い風で路上の何かがガラゴロと転がって行く音、バタバタと降りつける雨の音におどろいて、目を覚ましました。
窓の外の台風のような様子に、しばらく寝つけない時間を過ごしました。

朝になると雨の小休止。
不安な音は消えて鳥たちの会話が聞こえ始め、そして、セミの初めての鳴き声が耳に届きました。

自然の中では当たり前のようなサイクルの一場面ですが、大雨のニュースで胸が痛み、弱りそうな気持ちの今、ちいさな生きものの音がとても明るく感じられました。

外へ出ると、まだ陽射しは戻っていないものの、雨を受けたあとの葉っぱがとてもきれいでした。

これから緑色が本格的に濃くなっていく真夏前の、湿度を含んだこの時期の緑色。
その色を探しに、雨上がりの道を歩いて行きました。

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Shoko Arashi 嵐祥子

2009年、デジタル一眼レフの面白さを知り「写真を撮ること」に興味を持ち、写真表現大学で作品制作を学ぶ。 その後、ウェディングフォトに従事、2012年からフリーランスカメラマンとして活動中。2015年から一児の母です。

https://arashishoko.localinfo.jp

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