「会話が導くモノの行方」

美徳と暮らしでbitokurashi

2021年、あけましておめでとうございます。
bitokurashiを始めて5年の月日が経ちました。
みなさんにちょっとした共感と気づきを楽しんでいただける場となるよう、今年も様々な日常をお伝えしていけたらと思います。
これからもbitokurashiをよろしくおねがいします。

2021年最初のコラムはbitokurashiの主宰者、整理収納コンサルタントの小林朗子さんからスタートです。
小林さんは単に住まいの整理を助けるという役割で終わるのではなく、整理するターゲットを住まい、ひと、街とへと広げ全体を俯瞰し、ひとの暮らしについて深く研究されています。
このコーナーでは小林さんが考える整理収納とは、彼女が提案したいbitokurashi (美徳と暮らし、人と暮らし)とは何かをライターによる書き起こし形式でご紹介します。
みなさんが、このbitokurashiの思いを感じてくださりますように。

※当サイトの主宰に対してインタビューを行い記事にしています。よって、敬称を使用しています。

モノに気持ち、住まいはハコ

整理収納コンサルタントとしてお客様に会う機会は多くあります。
ご自宅全体のお片付けでどこから手を付けたら良いかわからないということで、複数回を定期的にお伺いしてお片付けをお手伝いすることもありますし、単発でお手伝いさせていただくこともあります。
様々なお客様がいらっしゃり、お片付けへのアプローチもそれそれのケースで異なります。
ご本人様やご家庭の歴史やドラマを肌で感じ取る機会にも恵まれ、整理収納を単なる掃除のカテゴリーの一つとしてではなく、生活学として研究する私にとってはお客様と一緒に新しく学ぶこともあり、とても新鮮な気持ちになります。

つい先日も、以前に一度、整理収納コンサルタントとしてお片付けをお手伝いしたお客様から、再度ご依頼を受ける機会がありました。
その方は子供のころから住むご自宅に長く居住されているのですが、一度目の依頼時にはそのご自宅内でのお片付けをお手伝いさせていただき、二度目はそのご自宅からの新しく転居されたお引越し先でのお片づけのご依頼でした。
一度目のお片づけの際に、お持ちのモノの内容の確認をしていただきました。
そのモノは今使っているのか、そうではないのか、また使っていなくても放したくない物なのか、モノの仕分けです。
全く使っていなくてこの先も出番が無さそうなモノに関しては手放すことをお勧めし、そのほかのモノに関しては手元に置いておく。これは以前にもご紹介していた私のお片づけの基本メソッドになります。※詳しくはこちらのコラム「手放すことで生まれる循環」をご参照ください。

そして今回の引越しでは、過去に「お片付け」をしていたことによって、とてもスムーズに手放すべきものを選ぶことが出来たとのこと。
また、住まいに対しての考え方にも変化があったそうで、モノを移動させることによって住まい自体への愛着がとても軽くなったとおっしゃられたのです。
住まいはあくまでも生活するための基本の箱であって、気持ちや歴史がこもった様々なモノがその箱に彩りや意味合いを与えるものなのだ、と気づかさせてくださいました。
お片づけでは家にあるモノを見て、確認して、仕分ける作業のお手伝いをするわけですが、とても大切な作業に立ち会っていることを今一度認識した次第です。

ブログ 「引越しというより、モノについて語ってしまう」より http://akiko.jp/work/4565.html

会話でみちびくモノの行方

お客様の住まいのお片づけは、わたしにとっても発見の連続です。
ただ、さまざまなお宅での整理収納やお片づけを経験していますので、ご依頼者様よりはハウツー (HOW TO) の引き出しは多く持っています。
お片づけをお手伝いするときは、手を動かすことも大切ですが、なによりお客様との対話が大切で、決断に関してはすべてお客様にしていただくようにしています。
ですので、なかなか私の思いが伝わらないときは、言葉を選び、質問を変え、いろいろな角度からお話しをできるように工夫をしています。ご本人にしっかりとイメージしていただくことが大切ですから。
住まいの大きさがこれくらい、だからこのくらいのモノが収容出来てそれ以外は手放す必要がある、とうような話しではなく、お客様のお話しをよく聞き、一緒にモノを見て考えていただくことが私の整理収納コンサルタントとしてのお客様との対応方法です。
ですので、お片づけのお仕事が終わった時は、身体的な疲れと同様に頭も本当に疲れているんですよ。

お片づけにおいては、みなさん、背中を押してくれる何かを待っていらっしゃります。
整理収納アドバイザー自身があれこれと指示をして、ドンドン背中を押してくれると思ってらっしゃる方も多くいらっしゃるかもしれません。
ですが、先にご紹介したお客様のケースで言うと、背中を押したのは私の一言ではなく、モノをよく見てご自身で判断されたことによって手放すものを決めることができた。
モノたち自身がお客様の背中を押してくれたと言えるのではないかと思います。
そして、そのモノたちへのご自身の思いを改めて感じられました。

こういうことを、お片づけを通してお客様とともに知ることによって、またこれまでと違う整理収納へのアプローチが出来るのではないか、と私はいつもわくわくしています。

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小林さんからお話を伺い、半年以上が過ぎました。去年の衣替えは思い切ってかなりの量のお洋服を手放しました。その中には一昨年買った物も含まれていましたが、手に取って見て「これはやっぱり一生身に着けないだろう」と自分で納得することができ、すんなりとごみ袋に入れることができたのです。もったいないけど、不要なものは不要。それは自分が決めることだ、としみじみ感じたものです。ただ、完全に無駄遣いになるので、今度は買うときにしっかり考えるとします。

2月1日公開予定の次回では、小林さんの考える整理収納から広げる世界をご紹介します。
お楽しみに。
みなさんも小林さんに質問したいことがありましたら、ぜひメールやインスタグラムでのDM、メッセンジャーなどでお送りください。

聞き手と書き手:Atsuko Niwa

アイキャッチ画像はMonoar Rahman RonyによるPixabayからの画像です。

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Akiko Kobayashi 小林 朗子

不動産関係の企業数社にて広告・広報業務を担当、在職中に整理収納アドバイザー1級資格を取得。 その後、武庫川女子大学大学院修士課程にて生活環境学を研究し、現在は整理収納コンサルタントとして、一般家庭や事務所の整理収納業を担う。その傍ら、使い手の無くなった着物や帯を新しい形へとアップサイクルする”Ofukuwake”や、各種セミナーや書籍監修などで活動。coordinationの代表、株式会社喫茶部代表。

https://www.coordination.work

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