「早すぎる梅雨入り」

写真家からみえる景色

写真で日常を切り取る、びとくらし。
「びとくらし」サイトトップのメイン写真をご提供いただいている、嵐祥子さん。
写真家ならではの視点や、景色の切り取り方、毎日の暮らしぶりを写真と文章で伝えいただきます。

「早すぎる梅雨入り」

近畿地方の梅雨入りが5月16日に発表されました。気象庁によると、観測史上もっとも早い梅雨入りとなったようです。

今月の記事は、五月晴れの景色のことにしようと考えていたところ、突然やってきた本格的な梅雨にすっかりとまどい、何を書きたかったのか頭の中で整理が上手くいかなくなってしまいました。

ついこのあいだ花粉や黄砂が落ち着いて、食事のあと窓を開けて換気すると気持ちが良く、新鮮な空気が部屋に流れてきた時間。

青い爽やかな香りのする柏餅や、やわらかでジューシーないちご大福がおいしく、それらを穏やかな気候の中で食べる春の醍醐味。

もう少しゆっくりと楽しみたかったな、とざんねんな気持ちが強く、なかなか頭を切り替えることができませんでした。

毎年5月、年に一度だけ仕事の帰り道で通る場所があります。
駅に辿り着くまでに、建屋の上に陸橋がかかっていて、今年も同じ様にそこを渡って改札に向かいました。

フェンス越しに見える景色は、毎年変わらず新緑の木に囲まれて、東西に引かれた線路はどこまでも続いて行きそうです。

遠くへすっと抜けて行く広い景色を見ていると、ひさしぶりに深呼吸をしたような気持ちになりました。

今年は湿度と汗でへとへとでカメラを出す元気がなく、その景色は撮らなかったのですが、一昨年の景色をパソコンで見ると、晴れた明るい日のものでした。

その写真からまたパワーをもらい、楽しいことうれしいことは、いつもの身近な場所にしっかりあるな、と見返すことができました。

早く来過ぎた梅雨がどんな季節に、どんな夏につながっているかはまだわかりませんが、人や自然、写真の力を借りながら、季節に寄り添ってしなやかな気持ちで過ごしていけたらな、と思っています。

当サイトの画像やイラスト、文書等の無断転載・無断使用はお断りいたします。ご使用をご希望される場合はお問い合わせください。

Shoko Arashi 嵐祥子

2009年、デジタル一眼レフの面白さを知り「写真を撮ること」に興味を持ち、写真表現大学で作品制作を学ぶ。 その後、ウェディングフォトに従事、2012年からフリーランスカメラマンとして活動中。2015年から一児の母です。

https://arashishoko.localinfo.jp

記事一覧を見る

カテゴリー内の最近更新された記事

  • vol.9 高齢期の「整理収納」に関する意識調査

    人生の最期に向けた準備や意識

    身の回りのモノの整理や遺産相続についてなど、生前に自分がしておきたいことを考える時間はとれていますか。アンケート調査から「終活」の準備への意識を読み解きます。

  • vol.8 遺品整理業者に聞く「生前整理」の準備

    遺品整理の実情とは

    高齢者が行う「生前整理」と遺族が行う「遺品整理」。終活は、高齢者本人だけでなく、家族みんなで取り組むテーマです。

  • vol.7 高齢者住み替えアドバイザーが語る高齢期の整理

    高齢者の「住み替え」のタイミング

    高齢者の「住み替え」はどのようなタイミングが良いのでしょうか。また「住み替え」に伴うモノの移動や処分はどのように行われるのでしょうか。高齢者住み替えアドバイザーから学びます。

  • vol.6 「モノ」への意識に関する調査

    家の中のモノの量とモノを捨てること

    家の中のモノの量やモノを捨てるということに関して、アンケートをもとに性別や年齢別に比較しています。家の中でどのようなモノが多く存在し、どのようなモノが捨てられないのでしょうか。

  • vol.5 暮らしのなかのモノの変化

    「生活財生態学」とは?モノを生態学的にとらえる

    戦争や産業の発展などの社会情勢の変化は、家庭内のモノにも大きな影響をもたらしていました。日本の家庭に保有される生活財を調査した「生活財生態学」の研究から、モノの変遷を読み解きます。

  • vol.4 「整理」に関する書籍の変遷

    書籍から読み解く「整理収納」への関心

    今では広く使われるようになった「断捨離」や「終活」といった言葉は、いつ誕生したのでしょうか。「整理」に関する出版書籍から、時代とともに変化する言葉やターゲット層について読み解きます。

  • vol.3 高齢社会の実態-家族構成と一人暮らし-

    高齢社会の実態をデータから読み解く

    日本の高齢社会の実態を理解したうえで、高齢者の「整理収納」における課題を考えます。

  • vol.2 既往研究から探る -高齢者と住み替え-

    「高齢者」「住み替え」「モノの整理」に関する先行研究のまとめ

    高齢者の住み替えやモノの整理に関して、これまでの研究ではどのようなことに着目し、どのような結論を見出しているのでしょうか。過去の研究内容を分かりやすくまとめました。

  • vol.1 高齢社会における「整理収納」

    高齢期に向けた整理収納の課題とQOL向上のヒント

    暮らしにあふれるモノは、人生の節目ごとに見直しが必要です。高齢期には生前整理や遺品整理と向き合う場面も増えますが、自分らしく整えることが、安心と心地よい暮らしにつながります。

  • bitokurashiリニューアルのお知らせ

    みなさま、はじめまして。あるいはお久しぶりです。「bitokurashi.com」をご覧いただき、ありがとうございます。 2017年7月にスタートした「びとくらし」は、2025年9月に内容やコンセプトをリニューアルをさせ […]

  • 今月の旬を味わう「みかん」

    季節がかわるごとに、いろいろな食材を目にします。 「旬」の食材をいただくことは、その美味しさはもちろん、自然に共調し心身ともに健やかにしてくれます。 しかしながら、毎日を慌ただしく過ごしていると、いつの間にか時間が目の前 […]

  • イタリア時間「年の終わりは忙しなく」

    イタリア生活で見つける「びとくらし」 イタリアでの日常生活の中にある、すこしだけ幸せに感じたり、すこしだけリラックスできたりするような「びとくらし」的な出来事を、マルケ州アンコーナ住まいのライターが紹介します。 イタリア […]