イタリア時間「まだまだ遠い日本」

イタリア生活で見つける「びとくらし」

イタリアでの日常生活の中にある、すこしだけ幸せに感じたり、すこしだけリラックスできたりするような「びとくらし」的な出来事を、マルケ州アンコーナ住まいのライターが紹介します。

イタリアに暮らす彼女の話しを聞いていると、度々、イタリアでは日本と全く違う時間が流れているように感じることがあります。しかもとても豊かな時間でした。時間の流れの違いの中に豊かさの理由が隠されているように思えてなりません。ぜひ、この理由を一緒に探してみませんか?

人との距離は遠いまま

今年の春先のことになりますが、夫とわたしの仕事の状況をカレンダーと照らし合わしてみたところ年末年始の時期に日本への短期滞在が可能そうだということで、飛行機の往復チケットを購入していました。海外からの入国者に対する隔離政策については、半年も経てばそれも解除されるであろうと「賭け」に出たわけですが残念ながら未だ続行中で、(※2021年11月6日現在の状況です)結局、購入していた飛行機便がキャンセルされてしまい、日本帰国の夢は閉ざされてしまいました。
ただ、細かく調べてみたところ、日本は現状も外国からの入国は禁止されている状況は変わらず、イタリア国籍である私の夫は、たとえ日本人配偶者がいたとしても、日本入国の際にパスポートの他に日本の外務省が発行したビザ(査証)が必要とのこと。取得行程の煩雑さを考えると登場予定の便がキャンセルになって良かった、と一人胸をなでおろしているところです。

さて、最近のイタリア暮らし、どうなっているのかと言いますと、日常生活上はほぼ通常通りになっています。大人数での外食なども可能ですし、オープンエリアでのマスクは必携ではなくなり、多くの人がマスク無しでいる姿もよく見るようになりました。ただ、閉所での活動に対する規制や、ひとところに大勢の人が集まる際の規制はまだ続いています。例えば、スーパーマーケットでの買物時はマスク必携であったり、結婚式など大勢の人が集まる会合にはグリーンパスと呼ばれるワクチンパスポートが必要だったりなど。また、テレビでスポーツ中継などを見ていると、アメリカをはじめ諸外国ではスタンドにコロナ期以前と同様の大勢の観客の姿を見ることが出来ますが、イタリアではまだそこまでの状況に達しておらず、オープンエリアの競技場では収容人数の75%、クローズエリアの場合は60%までの観客を動員することが可能な状況です。とは言え、人気の高いサッカーの試合などでもチケットが売れ残っている様で、人々の警戒心の高さが窺えます。

2019年の秋に訪れた東洋祭り、超満員の会場が懐かしい

コロナ、イタリアのいま

先日、イタリアの新聞記事でイタリア政府が発行する「グリーンパス」ですが、EU圏内でもその利用法の有用さに対して賛同が得られ始めているというニュースを目にしました。「グリーンパス」とはワクチンを受けた人に対して政府が無償で発行する証明書で、手続きをすれば政府運営のアプリからダウンロードが可能です。
このグリーンパスが無いと劇場やレストランなどで時間を興ずることはできませんし、10月中旬には企業で働く人に対してグリーンパスの必携が求められるようになりました。もし、グリーンパスを携帯していない、すなわちワクチンを打っていない、もしくは抗体を取得していない人を従業者として働かせていた場合は、経営者に対して罰金が科せられるのです。
この法令の発令が明らかになった段階で、多くのワクチン未接種者の方がワクチン接種へと向かい、またNO VACSを主張する人たちは、2日に1回のPCR検査を余儀なくされている様です(RCP検査結果の効用は48時間と認められています)。言い換えると、グリーンパスが必要な事案に関しては、RCP検査の結果が代用できるので、ワクチン未接種の方がレストランに食事に行く際などもこの検査結果があれば入店できます。このために、ここ最近は薬局前にはRCP検査を受ける人たちで絶え間なく行列ができています。

爆発的な感染者の増加や、症状の重症化の軽減は恐らくワクチン接種者数が伸びたことが要因かと思われますが、ワクチンを接種したくないという個の主義も尊重すべきですし、もしくは接種できないと言う健康上の理由もあるわけで、簡単に白黒がつけれる問題でなく解決は難しいでしょう。
ちなみに、イタリアのワクチン接種完了割合は71.69%で、日本の73.65%に次ぐ世界で6番目の高さ。あれほどワクチン接種が遅れていると言われていた日本ですが、この状況は流石という感じですね。(Our World in Data  2021年11月4日の状況より)
多くの方が亡くなり、世界でもまれにみる悲惨な状況を時期早くから経験したイタリアと、そんな状況を他の国での出来事としてドラスティックに見聞きし、時期が遅れて感染者数が増えた日本ですので、感染対策には大きな差が出るのは当たり前ですが、早く両国間の行き来がスムーズにできるようになれば良いな、と思わずにはいられません。日本政府や国民のみなさんの認識が変わらないとなかなか難しいだろうと、インターネット上にある記事を見て客観的に感じています。

思い起こせば中国の武漢でコロナと思われる感染病として出現したのがが2019年11月ごろと言われていましたが、それから2年が経とうとしています。仕事と家庭での時間がライフスタイルの中心で落ち着いた毎日を送っている私と違って、学校や友達など色々な事を外部から吸収して成長していく過程にある若い世代の人たちにとって、この奇特な2年間は何をもたらしたのでしょうか。
この2年間とあと少しで全てが終息し、いつかの日常へと近づけることを待ち望むばかりです。

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Atsuko Niwa 丹羽淳子

イタリア マルケ州在住。現在はワインや蜂蜜を日本に輸出する業務に携わり、翻訳やアテンド業を行う。 出版広告業界を経て、不動産業界の広報・採用業務に携わり、40歳目前に違う世界を見てみたくなりワイン業界へ転身。イタリアワインのエチケットを理解したいと思いイタリア語を習い始めたことをきっかけから最終的に41歳の冬にイタリアに渡り、現在で6年目に至る。 AIS認定ソムリエ、WSET Level2(ワインを理解するうえで不可欠な知識を得ることを目指すイギリスの資格)。

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