旬の野菜でひとつきひとくぎり Italia編

「いも」 イタリア料理編

旬の野菜、 Italia編をお届けします

毎月お届けしている「旬の野菜で、ひとつき、ひとくぎり」は、和食で「小鉢」になる料理を紹介していますが、「Italia編」では、ワインとあわせたイタリア料理をお届けします。
日本の料理とはひと味違った、イタリア料理での旬の野菜の楽しみ方を、ぜひお試しください。
併せて、その料理にあうワインもソムリエより紹介いただいています。イタリア料理とワインをセットでお楽しみください。

イタリアでも知る人が少ない!?“甘いジャガイモ”

『イモを使った料理を』というお題を受けて、「サツマイモ」で調べてみました。
イタリアではサツマイモは『Patate Dolci』もしくは『Patate Americane』と呼ばれています。直訳すると前者は“甘いジャガイモ”、後者は“アメリカのジャガイモ”という意味になり、異国からやっていた野菜の一種であることがすぐにわかります。
数軒のスーパーマーケットとフルッティヴェンドロ(八百屋さんのことです)をまわったところ、我が町一の高級八百屋さんの一軒のみで見つけることができました。
写真の様にこのお店では『Patate Dolci』と書かれた札とともに売られており、「この人の持っている野菜、何?」とは、『Patate Dolici』を手にレジで並んでいたわたしの後ろの女性から店員さんへの質問。その答えはというと「あぁ、これは『Patate Dolci』よ。私も食べたことないけど、味は甘いんじゃないのかしら?」という何とも雑なもので、イタリアではここまで知られていない野菜なのかと少し驚いたものです。

確かにイタリアは日本に比べて食に対してはまだまだ保守的であるように感じます。家庭で作って日常的に食べられるものは殆どがイタリア料理ですし、外食するとしてもイタリアンであることが八割以上でしょうか。年配の方ならばイタリア料理以外食べたことが無い、という方も多いのではないかと思います。なかなか外国産の野菜に手が伸びないのも納得ですね。お値段も写真の通りで1㎏3.5ユーロ、普通のジャガイモで1~2ユーロ程度なので、かなりレアな商品として扱われていることがお分かりいただけると思います。

さて、今回も先月のトウモロコシ同様、何を造るかが大きな問題です。イタリアでサツマイモ料理を食べた記憶は全く無いので、とりあえずインターネットで検索してみたところ、おやつにぴったりなフリット、簡単なスープやピューレなどを見つけることが出来ました。が、どれも”イタリア料理”としてご紹介するには少し心苦しい…。ということで、ジャガイモを使ったイタリアらしい家庭料理を、あえてサツマイモに置き換えて作ってみることにいたしました。” ジャガイモを使ったイタリアらしい家庭料理 ” 、そう、ニョッキです。芋にあるでんぷん質が持つ粘性を利用したお餅のようなモチモチ感が楽しいこのパスタ、出来たての手作りをいただくと、また格別に美味しいのです。今回のソースはバター、サルビア、パルミジャーノレッジャーノというとてもシンプルなもの。パスタの味をよく感じたいときに合わせられるコンディメントのひとつになります。

お料理は「Gnocchi di patate dolci  パターテドルチ /(イタリア版サツマイモ)のニョッキ」

『Patate Dolci』を使ったレシピもいくつか目星をつけて、さて調理開始! 
早く柔らかくなるように、湯がく前に『Patate Dolci』を厚さ2㎝ほどに切り分けてみてビックリ!上の写真右で見ていただける様に、実の色が日本のサツマイモと違って赤く、そしてとても水分が多い。サツマイモいうよりカボチャに近い印象です。
味わいも、サツマイモとカボチャのミックスバージョン。今回のこのブログ文中でサツマイモとせず『Patate Dolci』と記載しているのは、それが故です。
決して日本のサツマイモと混同いただきたくなかったので、あえてイタリア名を使っています。日本のサツマイモとは少し違うので、お料理の際にはご注意くださいね。

・材料
4人分
Patate dolci  300g 
ジャガイモ  300g
小麦粉  150g
塩  小さじ1
サルビア  10枚
バター  30g
パルミジャーノレッジャーノ たっぷり
塩  適量

・つくり方
1. Patate dolici とジャガイモを鍋に入れ、水で浸して湯がきます。オーブンも200℃で予熱を始めます。
2.鍋が沸騰してから10分後程度に、Patate dolci のみを取り出します。
3.取り出したPatate dolci の皮をむき、1cm の厚さに切りキッチンペーパーを敷いたトレーに並べ20分程度熱します。
4.ジャガイモも竹串がすっと通るくらい柔らかくなった段階で取り出し、皮をむき大き目のボウルに入れて潰します。
5.オーブンで熱し水分がとんだPatate dolci もジャガイモのボウルに入れ潰します。
6. 5に塩を食わせ、小麦粉を徐々に加えながら手で混ぜ合わせます(ジャガイモとPatate dolci が熱いうちに行います)。
7. 耳たぶより少し柔らかいほどの硬さになるまで、小麦粉を加え、生地をひとつにまとめます。ジャガイモとPatate dolci の水分量により加える小麦粉の量は加減してください。
8. 生地にラップをし、1時間ほど冷蔵庫でねかせます。
9. サルビアを油で揚げて、綺麗な緑色にします。
10.調理台に小麦粉をふるい1時間寝かしたニョッキ生地を取り出します。直径1.5cmほどの棒状にし、1㎝ずつに切り分けます。
11.切り口(円形)の真ん中を人差し指で軽く押しへこませます。ニョッキ同士がくっつかないように、軽く小麦粉をふりかけておきます。
12.大きな鍋で湯を沸かし、沸騰した段階で多めのお塩を入れ、ニョッキをひとつずつくっつかないように、お湯に落とします。
13.沈んでいたニョッキが浮き上がってきたら、すくい取り出します。
14. フライパンでバターを溶かしサルビアを加え香りを出し、そこに茹であがったばかりのニョッキを入れてかるく混ぜます。
15.火を止めニョッキを器に盛り、最後にパルミジャーノレッジャーノをたっぷりかけてできあがり。

※3にある”オーブンでPatate Dolciの水分を飛ばす”工程は、日本のサツマイモをご利用になる際は不要かと思います。また、イモ類を柔らかくするのに電子レンジももちろんご利用いただけます。イタリアでは電子レンジが無い家庭もまだまだ多く、レシピ内に電子レンジの利用が登場することはあまりありません(笑)

あわせたワイン

原産地:イタリア シチリア州
ワインの名前 :Nozze d’Oro
ワインの種類 :Bianco DOC Contea di Sclafani
生産者 :Tasca d’Almerita
ブドウ品種 :インツォリア72%,ソーヴィニオンブラン28%
アルコール度 :13%
年度 :2016 年

Nozze d’ Oro、日本で言うなら金婚式という名のこのワインは、その名の通りオーナーのConte Giuseppe Tasca氏が50回目の結婚記念日のオマージュとして奥様に捧げた逸品だそうです。シチリアの土着品種のインツォリアと、国際品種のソーヴィニオンブランが使われ、さわやかでしっかりとした酸味と味わいが楽しめます。ちなみに私たちが戴いた2014年のAnnataはパーカーポイントで91点という高得点を獲得されたそうです。

・生産者の紹介
シチリアで最も有名なワイナリーの一つと言っても良い『Tasca d’ Almerita』。創業は1830年とのこと。シチリアワインの生産を牽引してきた彼らですが、1950年代に所有する畑の多くを国策の為に没収されてしまいました。その後一族はまたワイナリーを再構築し、今なお偉大なシチリアワインの生産者としての世界中に知られる存在です。シチリアの農業改革に大きく貢献し、伯爵の称号も受けているそうです

・アビナメント
『Patate Dolci』を使ったニョッキは、ジャガイモだけを使ったものに比べてかなり甘さがあります。そのためパルミジャーノレッジャーノを普段以上にたっぷりかけることによって、甘みと辛みのコントラストを出し、ちょっと面白い味わいになりました。ワインのフルーティな香りにニョッキの豊かな香りがマッチし、しっかりした辛みのある味わいはパルミジャーノレッジャーノにもよく合います。ニョッキを熱々で食べ始めた際は甘さをかなり感じ「少しワインが強すぎたかな?」と思いましたが、食べ進むにつれて冷めて落ち着いた味わいとなり、ワインとの相性も良くなりました。


文・写真/Atsuko Niwa


Atsuko Niwa 丹羽淳子

イタリア マルケ州在住。現在はワインや蜂蜜を日本に輸出する業務に携わり、翻訳やアテンド業を行う。 出版広告業界を経て、不動産業界の広報・採用業務に携わり、40歳目前に違う世界を見てみたくなりワイン業界へ転身。イタリアワインのエチケットを理解したいと思いイタリア語を習い始めたことをきっかけから最終的に41歳の冬にイタリアに渡り、現在で6年目に至る。 AIS認定ソムリエ、WSET Level2(ワインを理解するうえで不可欠な知識を得ることを目指すイギリスの資格)。

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