旬の野菜でひとつきひとくぎり Italia編

「キャベツ」 イタリア料理編

旬の野菜、 Italia編をお届けします

毎月お届けしている「旬の野菜で、ひとつき、ひとくぎり」は、和食で「小鉢」になる料理を紹介していますが、「Italia編」では、ワインとあわせたイタリア料理をお届けします。
ご紹介するイタリア料理は、日本人の口にあうように一工夫されています。
日本の料理とはひと味違った、旬の野菜の楽しみ方をぜひお試しください。
併せて、ソムリエの資格もお持ちの彼女ならではの、料理にあうワインを紹介いただいています。イタリア料理とワインをセットでお楽しみください。

イタリアではカーヴォロカップッチョと、ちょっと長めでかわいい語韻

キャベツは多くの国で栽培され食されている野菜の一つ。
イタリアではCavolo Cappuccio (カヴォロ カップッチョ)と呼ばれ、季節を問わずに買い求めることができます。

因みに、Cavolo という言葉、日常会話の中でよく利用されます。予期せぬこと(特に悪いこと)が起こったときや、驚きを表現するとき、「Cavolo!」の一言で、「なんてこった!」「いや、マジで?」といった驚嘆を表すことができます。
ですので、イタリア人にとっては身近な“言葉”=“野菜”であることが想像できます。

そしてCappuccioとは、コートやブルゾンに付いている“フード”を意味し、結球するタイプのキャベツの葉の形状に由来しているのでしょう。日本ではキャベツの一言ですが、イタリアではカーヴォロカップッチョと、ちょっと長めでかわいい語韻が個人的には気に入っています。

さて、このカヴォロ(長いのでカヴォロとだけ以後記載します)、なんと12、13世紀ごろにイタリアで品種改良されたものが、その後、遠く日本に伝わったとか。
しかしながら、日本のキャベツはアメリカで品種改良を重ね、葉がとても柔らかくなっているらしく、イタリアで手に入る(少なくとも私が今まで購入したもの)カヴォロは、驚くほど葉が硬い上、キチキチに結球しており、包丁を入れるのも一苦労。(写真1)  なので、サラダにすると、味が薄くバリバリと噛み砕くのが大変。
一転、火を通すことによって驚くほどの甘みと増しとろけるような食感が楽しめます。

お料理は「Strudel di Pancetta e Cavolo Cappuccioベーコンとキャベツのストゥルーデル」

カヴォロは基本的にコントルノと呼ばれるメイン料理に付ける副菜として、ンプルに調理されたものが多いので、今回どのような料理を用意すべきか悩みました。
偶然にも、レンティーノアルトアディジエ州の郷土料理の中から素敵な逸品を見つけることができましたので、先月のアッビナメントと同じになってしまって恐縮ですが、Strudel di pancetta e Cavolo Cappuccioとトレンティーノ州のワインの組み合わせでご紹介させて頂きます。

トレンティーノアルトアディジエ州はオーストリア、ドイツとの国境を有し、食文化や生活習慣でも色濃くこの二国の影響を受けています。この料理“ストゥルーデル”とは、早い話しが“パイ包み”なのですが、語源はドイツ語となり“詰め物を幾層にも巻く甘い菓子”※1を表す言葉として使われているようです。イタリア国内、特に北部地方のパスティッチェリア(お菓子屋さん)では、Strudel というとアップルパイを意味することが多くなります。

・材料(二人分)
カヴォロ   半玉(500g 程度)
玉葱     1個
ベーコン   100g 
白ワイン   50㏄
粉末クミン  小さじ1
クミンシード 適量
エクストラヴァージンオリーブオイル 大匙2
卵黄     1個
塩      適量
コショウ   適量

・つくり方
1. フライパンでエクストラヴァージンオリーブオイルを熱し、そこにスライスした玉葱、細かく切ったベーコン、薄切りにしたカヴォロを順に加え炒めます。
2. 塩・コショウ、白ワインを加え20分ほど蒸し焼きにし、その後粉末クミンを入れて味を調えます。
3. オーブントレーにパイシートを敷き、写真の様に具材載せ、パイシートをたたみます。
4. 2㎝間隔で切り込みを入れ、卵黄を塗り、クミンシードをぱらぱらとふりかけ、180度のオーブンで30分ほど焼きます。
5. 表面がこんがり色づいたら出来上がり。

あわせたワイン

原産地   :イタリア トレンティーノアルトアディジエ州
ワインの名前:MOSCATO GIALLO DORATO
生産者   :Marco Donati
アルコール度:12.5%
年度    :2016 年

力強い味わいのワインが多く生産されるイタリアの中で、トレンティーノアルトアディジエ州はおそらくもっとも繊細で秀逸なワインを数多く生み出すエリアだと言えます。特に白ワインの種類の多さ、味わいには特筆すべき。
この白ワイン品種にあたる“モスカート”は、3大アロマティック品種として知られ、その香りの高さでよく知られています。モスカートジャッロの“ジャッロ”とは黄色を意味し、ワインが黄金色に輝いている所以です。
味わいはたっぷりの果実感に、果物の蜜を感じるようなねっとりとした甘さもあるものの、最後はキリっとした清涼感を感じることができます。

・生産者の紹介
Marco Donati (マルコ ドナティ)は数多くのイタリアのワイナリー同様、ドナティ一家(ドナティ夫妻と娘さん)が営むカンティーナです。トレンティーノエリアでは有数の歴史を誇り、創業は1863年。
ワイン醸造への強いパッション持ち、土着品種を利用したワインへ深い愛情を注いでいます。

・アッビナメント
クミンが持つ辛みと独特のにおいとベーコンの燻製香が、モスカートジャッロの芳しいアロマとよく合います。また、パイ生地のバター味わいとワインの持つ、まったりとした重さがマッチし、そして何といっても主役のカヴォロの甘さと、モスカートが持つ甘さのある果実感はとても調和のとれた組み合わせであると言えます。

※1 Wikipedia参照

文・写真/Atsuko Niwa


Atsuko Niwa 丹羽淳子

イタリア マルケ州在住。現在はワインや蜂蜜を日本に輸出する業務に携わり、翻訳やアテンド業を行う。 出版広告業界を経て、不動産業界の広報・採用業務に携わり、40歳目前に違う世界を見てみたくなりワイン業界へ転身。イタリアワインのエチケットを理解したいと思いイタリア語を習い始めたことをきっかけから最終的に41歳の冬にイタリアに渡り、現在で6年目に至る。 AIS認定ソムリエ、WSET Level2(ワインを理解するうえで不可欠な知識を得ることを目指すイギリスの資格)。

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