イタリア時間「クルマの常識」

イタリア生活で見つける「びとくらし」

イタリアでの日常生活の中にある、すこしだけ幸せに感じたり、すこしだけリラックスできたりするような「びとくらし」的な出来事を、マルケ州アンコーナ住まいのライターが紹介します。

イタリアに暮らす彼女の話しを聞いていると、度々、イタリアでは日本と全く違う時間が流れているように感じることがあります。しかもとても豊かな時間でした。時間の流れの違いの中に豊かさの理由が隠されているように思えてなりません。ぜひ、この理由を一緒に探してみませんか?

クルマを持つ生活

ほぼ2年前のエッセイ「イタリア的クルマ社会」で、イタリア人の生活と自動車の切っても切れない関係を紹介しましたが、今回は、その際に書ききれなかったイタリアでののクルマを運転する際の常識事項についてお話ししたいと思います。
イタリアでは公共の交通機関が充実していないので当たり前かもしれませんが、ここの生活ではクルマは欠かせないものの一つです。日本のようにピッカピカで傷一つ無い最新モデルの車が数多く往来するのではなく、ボロボロでガタガタの車も現役で数多く走っている姿もよく見ます。
フィアット車の500(チンクエチェント)に関しては、アンティーク車のコレクターも多く数十年前のモデルでも現役で活躍しています。
車の走行距離もなかなかのもので10万kmを越していて当たり前。私が以前に所有していた車も10年目でしたが、走行距離は14万kmを超えていました。日本でも車検の他に毎年の車の法定点検は義務化されていると思いますが、こちらでも同様で、整備士による点検を、ある一定距離を走行する毎に受ける必要があります。
長く車を乗り続ける為にも、また、車の保障の観点からもこの点検は重視されているようです。
ちなみに、車を走らせるために必要な燃料ですが、ガソリンに関しては日本の1.5倍ほどの金額になります。ですので、より安価な燃料として、ディーゼル、メタンガス、GPLガスなどが併用されており、燃料スタンドにも色々と種類があります。

走る車も古ければ、乗る人も

都市部に住んでいたとしても、車を所有していないという家庭は少ないのではないでしょうか。街なかで車を走らせていると、いきなり低速で走行する車に遭遇したりします。大体の場合が高齢の運転者で、驚くほど自由に運転し、自由に停車します。
車が無いと成り立ちにくい生活なので、高齢の方の自動車運転は珍しくもなく、周りの人も「高齢者なんだから、免許書を返納しないと!」という意識もありません。そもそも上に書いたように、彼らの多くはミッション車に乗っています。アクセルブレーキを踏み込むだけで簡単に車が動くのではなく、発進時や加速時には必ずクラッチペダルを踏みこむ必要があります。
ですので、日本のように高齢者による「急発進」や「急加速」での事故は、あまり耳にしません。
「ミッション車」は、日本では運転している人がほとんどいなくなってきていると思いますが、新しいものだけが住みよい暮らしを作り上げているわけではないんだなぁ、と実感した次第です。こういうちょっと時代遅れなところが、イタリアの生活にゆとりを与えているのではないでしょうか。

ゆっくりゆっくり進化中

わたくしごとなのですがこの春に新しく車を買い替えました。
以前の車はトヨタのYarisでオートマ車。今回も色々と悩んだ末に、結局Yarisの最新型車を購入することに決めました。日本でも評価が高い同車種、イタリアでも人気は高く納車はオーダーしてから約3ヶ月後。ようやくやってきたYarisはガソリンと電気、両方で走るハイブリッド車。ハイブリッドのメリットを活かすためには、シフトチェンジがミッションでは発揮されずオートマチック車であることが必要で、わたしの車はオートマチックですが大義名分もバッチリです。

その他、数はまだ多くないと思いますが、テスラなどの電気自動車も登場していますので、少しずつ進化をしていることは確かに感じます。ただ、便利だから、ということだけでは簡単に流布することはなさそうですよね。そこにある生活に必要かどうか、が何事も重要です。イタリアでTOYOTAの新車を得たにも関わらず、「え?本当に?」と驚くことが2点ありました。
一点はサイドミラーの自動開閉が基本仕様ではないこと。確かに殆どの車がサイドミラーは出しっぱなし。日本よりも空間的に余裕がある国土構成なので、スペースを極力小さく保たなくても良いのでしょう。
もう一点は、バック駐車での運転補助機能がないこと。ここでの駐車方法は95%が前進駐車。日本のように出る時の簡単さを考えてバックで駐車しておくなんて思考はそもそも存在しいませせん。そんな状況ですから、バック駐車補助機能なんて宝の持ち腐れ、ですよね。納得です。

日本車だから日本の常識が通用するのかと思っていたのですが、流石にマーケティングはちゃんとなされれています。これも一つの『郷にいれば郷に従え』でしょうか。

Free-PhotosによるPixabayからの画像

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Atsuko Niwa 丹羽淳子

イタリア マルケ州在住。現在はワインや蜂蜜を日本に輸出する業務に携わり、翻訳やアテンド業を行う。 出版広告業界を経て、不動産業界の広報・採用業務に携わり、40歳目前に違う世界を見てみたくなりワイン業界へ転身。イタリアワインのエチケットを理解したいと思いイタリア語を習い始めたことをきっかけから最終的に41歳の冬にイタリアに渡り、現在で6年目に至る。 AIS認定ソムリエ、WSET Level2(ワインを理解するうえで不可欠な知識を得ることを目指すイギリスの資格)。

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