写真で日常を切り取る、びとくらし
「びとくらし」のトップのメイン写真をご提供いただいている、嵐祥子さん。
いつもの日常も切り取り方、感じ方次第で特別な日になることもたくさんあります。
そんな切り取り方を少しのぞかせていただきます。
「冬を想う」
年末が近づいた良く晴れた日。
大物の洗濯をしようと、白色のレースカーテンを洗いましました。
そのカーテンを、ベランダの物干し竿に広げると、生地に反射した太陽の光がまぶし過ぎて「まるで雪の反射のよう」と、ぎゅっと目をつぶりました。
薄着のままでも暖かいベランダにいると、今季の暖冬を肌で感じられました。
そしていつかの、寒かった年末年始の光景はどんな風だったかなと、いろいろと思い出していました。
忘年会の帰り道、夜のタクシーの待合室。
強い風が駅のホームに吹きつけていた、帰省の道中。
しっかり着こんでいても顔が寒く、肩をすくめて歩いた初詣の参道。
どの日も記憶にあるのは、雪が降りつもるほど気温が低く、キリリと身が引き締まるような冷たい空気につつまれていたことでした。
暖冬とは言っても、さすがに冬の真ん中。
朝晩の気温が10度前後に下がり、吐く息が白くなるときがあります。
息子が、ふだんは透明で見えない息を、目で見ることができて「口からけむりがでた」と、不思議そうにしていました。
そして「雪のところへ行ってみたい」とのリクエスト。
日本は国土の約半分が豪雪地帯で、世界でも有数の雪国なのだそうですが、今、各地の雪不足のニュースが報じられています。
「残念ながら住んでいる地域では、雪景色の体験をすぐにはできなさそうだよ」と、説明をしつつ、わたしも冷たくてまぶしいほどの白い世界に囲まれたいと、想像しました。
新年を迎え、近所の園芸広場には「ビオラ」が植え込まれました。
寒いのに枯れないのかな?と思っていましたが、調べてみると、寒さに強く丈夫で、春まで花を咲かせつづけるそう。色味が少なくなる冬のガーデニングに重宝されていて、たくさんの種類があるようです。
たびたび見かけるので、つい知っているような気持ちのまま知らずにいて、小さいのにすごいなと、見直しました。
きっと今日も街のあちこちで、かわいいお花を開き、北風にゆられています。