「便利さを見極める」

美徳と暮らしでbitokurashi

bitokurashiの主宰者小林朗子さんは整理収納コンサルタント。
単に住まいの整理を助けるという役割で終わるのではなく、整理するターゲットを住まい、ひと、街とへと広げ全体を俯瞰し、ひとの暮らしについて深く研究されています。
このコーナーでは小林さんが考える整理収納とは、彼女が提案したいbitokurashi (美徳と暮らし、人と暮らし)とは何かをライターによる書き起こし形式でご紹介します。
みなさんが、このbitokurashiの思いを感じてくださりますように。

※当サイトの主宰に対してインタビューを行い記事にしています。よって、敬称を使用しています。
「衣替えを楽ちんに」です。まだお読みでない方はぜひリンクからご一読ください。

ちょっとの思いつきで変わった習慣

便利だなと思って疑問もなく長年使っていて、ふとした瞬間に「これは本当に便利なものなのだろうか?」と感じることは無いでしょうか?
少し前に、スマートフォンの多機能性や先進性に疲れを感じた人たちが、ガラパゴス携帯に乗り換えるというちょっとしたブームが有りましたが、私が最近その便利さに疑問を感じたものが「キッチンの排水口ネット」です。

「キッチンの排水口ネット」とは、大抵の方はその存在はご存知かとは思いますが、方ならご存じだとは思いますが、排水口にあるゴミ受けトレーにこの「ネット」をかけておくことで、野菜の切れ端や汚れなどをキャッチしてくれて、トレーや排水口自体を綺麗に保つことが出来るというものです。

数多くのメーカーさんが除菌タイプや消臭タイプなど、様々な秀逸なタイプを開発されていて、またそれぞれの排水口の大きさに合うようにサイズも数種類あります。

何の疑問もなく、この排水口ネットを長年使ってきたのですが、ふと頭によぎったのです。
「排水口ネットを使っても、結局、排水口やトレーは毎回洗っているし、もしかしたらこのネットは全く必要がないものなのではないか?」と。
お料理をする度にこのネットを交換しているので、排水口も常に清潔に保たれています。
また、料理時に出るゴミはすぐに近くにおいているゴミ箱に廃棄しますし、このネットが大活躍しているわけでもないのに、ただ習慣として使い続けていたことに気づいたのです。

わざわざこの商品を買いに行くこともよく考えれば手間の一つです。

出来るだけ食材を流さないように気をつけて、使うごとにゴミ受けや排水口やササッと洗って綺麗に保っておくことで十分! これが私が出した結論でした。

基本を正せば本当の便利さが見える

今回は排水口ネットに焦点を当ててお話しましたが、実際の生活で「便利なはずなのに便利ではない」モノは多くあると思います。
もちろん、使い手の状況によっても便利である理由や基準は様々です。

キッチンを綺麗に保つコツでいうと、掃除はこまめにすること。モノを出来るだけ増やさないこと。これに尽きると思います。
使った場所は必ずすぐに拭き掃除。
キッチンコンロも油がこびりつかない内にササッと掃除。
洗い物をした後は、食器は拭いて食器棚へ収納。
そして、キッチンで使う器具は、その器具を一番活用する場所へその仲間たちと一緒に収納。

話しは少し逸れますが、先日、友人が私の家のキッチンを使う機会がありました。
私自身はキッチンから離れて作業をしていたのですが、その友人から「あるべき場所にモノがあって、キッチン迷子にならずに一人で食事の支度ができたわ」とお褒めの言葉を頂きました。

調理用具などについても、自分が使うものを必要な数のみ置くようにしています。
「便利そう」と思って買ったものの、めったに日の目を見ない用具がキッチンスペースを占領していること、よくありますよね。
こういったことが起きないように、定期的にキッチン用品の整理をすることもおすすめです。

恐らく一般的な消費者のみなさんが「苦手」と思われていることに関しては、あの手この手でその便利さを謳い、さぞ効き目があるかのようにその効能を説く多種多様の商品が販売されています。
特に掃除用品は、◯◯用、△△用と多種の用途に分かれていて、買って試してみたいという欲求をそそられるものばかり。でも、それを揃えてしまうとその整理だけでも一苦労と本末転倒な話しになってしまいます。

基本的に雑巾があって掃除の仕方さえ理解していれば、家中のどこでも綺麗にできるものです。
便利そうだからという理由でお掃除商品をたくさん揃えて、整理収納の邪魔になるなんてことはぜひ避けてくださいね。

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キッチンの引き出しに「りんごの切り分け器」が眠っていることを思い出しました。一度たりとも使ったことは無いのですが、バザーがあったら出品しようなどと考えて、ずっと「宝物」状態になっています。自分自身が楽になるためにも、余計なものは持たない、増やさないことが大切ですね。
なお、小林朗子さんのブログ TIDY LIFE DIARY でもキッチンの整理について紹介されています。
ぜひあわせてお読みくださいませ。こちらからどうぞ▶苦手な整理も、ここを乗り越えなくては

12月1日公開予定の次回では、実際の整理収納に対してのヒントを戴きます。
お楽しみに。
みなさんも小林さんに質問したいことがありましたら、ぜひメールやインスタグラムでのDM、メッセンジャーなどでお送りください。

聞き手と書き手:Atsuko Niwa

アイキャッチ画像はBrett HondowによるPixabayからの画像です。

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Akiko Kobayashi 小林 朗子

不動産関係の企業数社にて広告・広報業務を担当、在職中に整理収納アドバイザー1級資格を取得。 その後、武庫川女子大学大学院修士課程にて生活環境学を研究し、現在は整理収納コンサルタントとして、一般家庭や事務所の整理収納業を担う。その傍ら、使い手の無くなった着物や帯を新しい形へとアップサイクルする”Ofukuwake”や、各種セミナーや書籍監修などで活動。coordinationの代表、株式会社喫茶部代表。

https://www.coordination.work

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