bitokurashiの主宰者小林朗子さんは整理収納コンサルタント。
単に住まいの整理を助けるという役割で終わるのではなく、整理するターゲットを住まい、ひと、街とへと広げ全体を俯瞰し、ひとの暮らしについて深く研究されています。
このコーナーでは小林さんが考える整理収納とは、彼女が提案したいbitokurashi (美徳と暮らし、人と暮らし)とは何かをライターによる書き起こし形式でご紹介します。
みなさんが、このbitokurashiの思いを感じてくださりますように。
※当サイトの主宰に対してインタビューを行い記事にしています。よって、敬称を使用しています。
ちょっとした興味がきっかけ
私たちの身のまわりには様々な”もの”があふれています。
日常のくらしでは”もの”が増えていくことが当たり前です。
では、どのようにコントロールするべきなのでしょうか。リフォームして部屋を作り変える?それとも大きなお家へ引っ越す? 残念ながら、どちらも現実的な話ではありません
引き算することが”もの”をコントロールする為に必要なのでは?と、ふと思い当たったのが、大学を卒業して社会人となり、東京で働いていた時です。
そこから整理収納をよく知りたい、勉強したいという思いが高まり、会社員として働きながら整理収納アドバイザーの資格を取得しました。
整理収納についての基礎的な知識を得ることができ、勤め先が住まいに関連するサービスを提供する業種であったため、この資格を活かして整理収納についてのコラムを執筆などもさせていただくようになりました。
その後、地元である関西に戻って不動産会社に転職し、新しい生活をスタートすることになるのですが、その際には5年後に整理収納コンサルタントとして仕事を始めようと決心していました。
引き算の整理収納というひらめき
さて、私が言う「”もの”の引き算」について少しご説明します。
”もの”が増えると空間をきれいに整えておくことは自ずと難しくなります。雑多な”もの”の存在は簡単にはコントロールが出来ません。
そして何か大切なものを飾りたいとき全く思った通りにならなかったり、新しい家具のコーディネートがしっくりこなかったりします。
みなさん、”もの”を増やすことは得意ですけど、減らすことは不得意ですものね。
”もの”を持つことで、本来の暮らしに大事なものが見えなくなっているのではないだろうかと疑問に感じたのがきっかけです。
子供の頃から整理収納が得意だったのか?とよく聞かれますが、自分ではあまりわからなくて。
狭い空間をどうやったら自分の思う様に使えるか、ということはよく考えていました。試験の前には時間稼ぎで、必ず部屋を整理整頓していたことはよく覚えています。
あと、頼まれもしていないのに兄の部屋を掃除したことも。書棚には本を置いて使いやすく、と思って並んでいた彼のトロフィーを勝手に押入れにしまい込んで、ひどく怒られました。
こうして思い返すと、整理収納は自分のとても身近にあったのかも知れませんね。
自分の「整理収納」を深める為に大学院へ
5年後には整理収納コンサルタントとして活動するという思いを持って会社員として働いていたものの、自分がどのように活動するべきなのか、ことに少し迷いもあって大学院で整理収納の研究をすることに決めました。
大学院での主とした研究テーマは『高齢期における”もの”の整理収納の特性』です。
人が”もの”を手放す=引き算するタイミングは様々です。
結婚、出産、子育て終了などライフステージか変わるタイミングで”もの”を手放す機会が多くあります。その中でも高齢期者の方は特に”もの”を手放す機会によく出会われます。
社会の核家族化と高齢化が進む中で、人はどのようなタイミングで”もの”を手放すのか、もしくは所持したままなのかなどを、高齢者施設を訪問するなどして幅広く調査しました。
大学院で行ったこの研究を通し、整理収納コンサルタントとして、社会のなかで自分がやるべきことが何なのかを理解することが出来ました。
研究している間に、実に多くの気付きと素晴らしい出会いが沢山ありました。
それらが今、整理収納コンサルタントとして活動する私の礎になっていることは言う間でもありません。
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整理収納には「引き算」が必要…、単なる生活作業の一部だと思っていた私にとっては目からウロコのお言葉でした。そして、自分の未来をよりよく作り出すために、大学院で研究することを決心されたこともとても興味深いです。整理収納は単なる作業では無いということなのでしょうか?
5月1日公開予定の次回では、小林さんが進める整理収納の方法についてお伺いしてみたいと思います。
お楽しみに。
聞き手と書き手:Atsuko Niwa