第4章 高齢期における「整理収納」に関するアンケート調査
4.1 本章の視点
第3章では、高齢者と関わる仕事に従事する2者から、高齢者の「住み替え」や終活について伺い、現状の課題や準備すべきことを認識することができた。
本章では、高齢者を含めた幅広い世代を対象に、「高齢期におけるモノの整理収納」についての意識調査を行った。高齢期を迎えた際の取り組みや、「遺品整理」の経験、感想を調査してまとめた。
4.2 高齢期の「整理収納」に関するインターネットアンケート調査
4.2.1 調査概要
高齢期のモノの整理や親族の遺品整理などの経験、遺品整理への意識を調査する。

※論文より切り抜き
4.2.2 アンケート構成
高齢者になった時に、自分自身はモノを整理するか、また具体的に何を整理するかを調査する(図4.2-1)。また自身の死後についての設問も用意した。

※論文より切り抜き
4.2.3 回答者属性
アンケート回答数2752件に関して、回答者の年齢は20代が16件(0.6%)、30代が314件(11.4%)、40 代が990件(36.0%)、50代が835件(30.3%)、60代が419件(15.2%)、70代以上が178件(6.5%)である (図4.2-2、図4.2-3)。男女比は、男性1767件(64.2%)、女性985件(35.8%)である(図4.2-4、図4.2-5)。

※論文より切り抜き
居住年数は、5年以上10年未満が最も多く(約41%)、次いで10年以上15年未満が32%となっている。年齢別の居住年数は、年齢を重ねるごとに居住年数が長くなることが分かる(図4.2-6、図 4.2-7)。また、同居人数の割合についても調査している(図4.2-8、図4.2-9)。


※論文より切り抜き
4.2.4 自身の高齢期におけるモノの整理の意識
自分のモノは自分で整理したいと思っている人がおよそ9割と非常に多いことが分かる(図4.2-10、図4.2-11)。

※論文より切り抜き
(1) 年齢、男女比割合
幅広い世代の人々が自分自身で整理をしたいと考えており、若年層よりも年齢が高い世代の方がそのように感じていることが読み取れる(図4.2-12)。男女で比較すると、男性よりも女性の方がわずかに、自分で整理をしたいという人の割合が高い(図4.2-13、図4.2-14)。


※論文より切り抜き
(2) 何を整理しておきたいか
自分で整理したいモノについて、複数選択で具体的に回答してもらった(図4.2-15)。「自分で整理をしたい」の設問で「はい」と回答した人のうち、最も多かった項目は、「趣味のモノ」であり、次いで「服」があげられた。さらに「アルバム・写真」、「思い出の品」も回答数が多い。「その他」は自由記述とした結果、「書籍」が17件あり、「書類」や「PC やスマホのデータ」、「着物」、「投資や株」、「墓」などがあがった。具体的な回答がある一方で、「何から手を付けて良いかわからない」、「不明」という回答もあり、先を見通して整理を進めることの難しさも見えた。

※論文より切り抜き
(3) 整理したい理由
自身で整理をしたい理由は、「残った家族に迷惑をかけたくない」や「自分のことは自分でしたい」という回答が多かった。「アルバム・写真」や「思い出の品」、「趣味のモノ」については、「プライバシー保護のため」という回答の割合が高かった(図4.2-16)。多くの人が「自分で整理したい」と考えていることが分かったが、整理に向けた実際の取り組みや準備を行っているかを調査した。

※論文より切り抜き
4.2.5 自身の他界準備について
人生の最期に向けて準備することを表す「終活」ということばがあるが、自身の最期を迎えるにあたって、「何も準備していない」という人が多いのが実情だ(図4.2-17)。準備をしている人の回答の中で、身の回りの「モノの整理」を進めている人は多いことが分かる。また「遺産の整理」や、「その他」の記載内容で、「エンディングノートを用意している」という回答があった。エンディングノートに遺産についての遺言やお墓のことなどを記し、家族・親族の為に残す人も多い。

※論文より切り抜き
(1) 「何も準備していない」年齢別比較
「何も準備をしていない」という回答を年齢別にみると、若い世代の方が多く、年齢を重ねると「終活」のイメージができるようになると推測する(図4.2-18)。しかし、80代の約20%の人はまだ「何も準備していない」ことが分かる。

※論文より切り抜き
(2) 準備している内容の年齢別比較
「何も準備していない」と回答した人を除き、準備している項目を選択した人を年齢別に比較すると、若年層でも「モノの整理」や「お墓の準備」、「遺産の整理」を進めていると分かる(図4.2-19)。

※論文より切り抜き
(3) 他界して不安に思うこと
自分の死後について「不安なこと」を質問した項目では、「特に不安はない」が1079件で最も多い回答である(図4.2-20)。一方で、自身の身の回りの「モノの整理」に関しては不安に感じている人が多いことが分かる。年齢別に比較すると、年代問わず「特に不安なことはない」という回答が3割~4割程度であり、不安要素としては、ほとんどの世代で「モノの整理」があげられる。「遺産の整理」は50~60代に多いことがグラフから読み取れる(図 4.2-21)。

※論文より切り抜き
〈注釈〉
*54 51 に同じ











