旬の野菜で、ひとつき、ひとくぎり Italia編

「アスパラガス」 イタリア料理編

旬の野菜、 Italia編をお届けします

毎月お届けしている「旬の野菜で、ひとつき、ひとくぎり」は、和食で「小鉢」になる料理を紹介していますが、「Italia編」では、ワインとあわせたイタリア料理をお届けします。

ソムリエの資格もお持ちの彼女ならではの、料理にあうワインを紹介いただいています。イタリア料理とワインをセットでお楽しみください。

イタリア人も大好きな春の食卓を彩るアスパラガス、一番人気は野に生える「セルヴァティチ」タイプ

この連載を始めて、イタリアと日本の季節の廻り方はよく似ているなと実感するようになりました。
アスパラガスの存在もその一つ。イタリアでも日本と同じ春先から初夏にかけて店頭に多く並びます。
食べ方は、サラダのなかの一野菜というよりも、茹でたものを塩とオリーブオイルでいただいたり、パスタの具にしたりと、存在感は主役級の場合が多いです。
その中でも人気が高いのが“アスパラジ セルヴァティチ”と呼ばれる野生タイプのアスパラガスになります。
これがとっても細くて長い。住宅街から少しはずれた野の道や、あぜ道、原っばなどで、簡単に見つけることができ、みんなこぞって採りに行きます。簡単に見つけることができる存在ながらも、すぐに姿を消してしまうのも確かで、私も今年で4度目の春を迎えましたが、セルヴァティチタイプを戴いたことはたった一度しかありません。
結局、今年も口にすることは出来ず、従来タイプのアスパラガスを食べるばかりです。

お料理は「Crepe agli aspalagi アスパラガスのクレープ」

イタリアで茹で野菜料理に関しては、とにかく茹でる時間が尋常じゃなく長い。どんな野菜もくたくたにするのが当たり前で、もちろんアスパラガスもクタクタになったものをいただきます。
強いて言うならば、多くのイタリア人はアスパラガスのシャキシャキ感を楽しむことなく一生を終えているとも言えるのでしょうね。
実際に、私のイタリア人パートナーも、私の好きな”硬さ“のアスパラガスを初めて食べたときは「ゆがき足りない」と抗議しまたものです。
幸いにも、そんな彼も今ではシャキシャキ感を楽しんでくれるようになりました(笑)。

今回、参考にしたレシピも例にもれず、アスパラガスの下拵えでは「30分間ゆでる」とありました。本当にどれだけの栄養素が、ゆで汁の中に溶け込んでしまっているのか、と思うと残念でなりません。
ただ、ここで本音を…。来伊当初は、クタクタ野菜に憤りを感じるほどの嫌悪感をもっておりましたが、郷に入れば郷に従えというもので、これがおいしく感じてきたのも確かです。野菜の甘みがくちのなかで簡単にとろけて、また別の美味しさがあることに気づきました。

さて、今回のお料理はフランス料理仕立てですが、クレープです。
イタリアでもたまに見かけるクレープ料理。プリモピアットとしてパスタ料理の一種として扱われます。
既製品のクレープも売られていますが、ぜひ手作りに挑戦してみてください。とっても簡単ですよ。枚数を焼きあげるのは大変ですが!

・材料
~アスパラガスクリーム用~
アスパラガス 500g
バター    20g
パルミジャーノレッジャーノ 50g
なつめぐ   少々

~クレープ用~
小麦粉    250g
全卵     3個
牛乳     500㏄
バター    50g

~ベシャメルソース用~
バター    60g
小麦粉    50g
塩      少々
こしょう   少々

・つくり方
1.まずはクレープ生地を用意します。
ボウルに小麦粉を入れ、室温の牛乳を少しずつ入れて混ぜ合わせます。だまにならないように注意してください。その後、溶き卵を加え入れ混ぜ、最後に溶かしたバターも加えてよく混ぜ合わせます。ラップをして30分間冷蔵庫で寝かせます。

2.直径が20㎝程度のフライパンに、少しだけバターを落とし、クレープを焼きます。両面に軽く焦げ色がつく程度で大丈夫。時間も1枚、2~3分程度です。

3.1の行程と同時に、アスパラガスを湯がき始めると効率的でしょう。
まずは固い部分を切り取り、大きめの鍋で沸騰したお湯に適量の塩を入れ、しっかりと柔らかくなるまで茹でます。
頭部分はお湯からだしたままでOKです。ゆであがった後は、冷水でサッと洗い、10本程度は頭部分を4~5㎝程度切って、飾り付け用としておいておきます。頭を切り取ったアスパラガスと残りのものの半分程度はブレンダーでクリーム状に、もう半分は2㎝程度に切り分け、20g程度のバターと合わせて味わいを付けます。

4.ベシャメルソースを作ります。
お鍋にバターを入れてゆっくり溶かします。そこに小麦粉をふるい入れて混ぜ合わせ、あらかじめ温めておいた牛乳を加え10分ほど混ぜながら煮つめます。
最後に塩とこしょうで味付けしてください。

5.ベシャメルソースの2/3と、3で用意したアスパラガスのクリーム、アスパラガスを混ぜ合わせます。そこにナツメグも香りづけで振り入れてください。

6.オーブンを180度で温め始めます。

7.耐熱容器にバターを塗ります。まな板などの台の上にクレープを開け、5で作ったアスパラガスのクリームを塗りくるっと丸め、耐熱容器に並べます。
耐熱容器が隙間なく埋まったら、残しておいたベシャメルソースを全体に塗り、飾り付け用に取り分けておいたアスパラガスの頭を置きます。
パルミジャーノレッジャーノチーズをまんべんなくふりかけ、オーブンで20分焼き上げます。表面に焼き色がついたら出来上がり。

あわせたワイン

産地    : イタリア マルケ州
ワインの名前: Naumakos Falerio DOC
生産者   : Carminucci – Vinicola del Tesino s.r.l.
アルコール度: 14.0%

マルケ州の中部から南部にかけて作られるDOCワインのFalerio。
土着品種であるペコリーノやパッセリーナといったフルーティで軽やかな白ブドウ品種とトレッビアーノの混乗したワインです。
ぶどうそれぞれの個性をうまく引き出すと非常に味わい豊かな一本になります。今回のNaumakosには、芳香性の高い品種の一つ、マルヴァシアも含まれているため、豊かな香りも楽しめます。

・生産者の紹介
1928年にジョバンニ カルミヌッチが創業し、息子のピエロに高品質のワインの生産業が引きつがれます。その後数世代を経て1999年にはより多種のブドウ品種の栽培、ワインの生産を開始し、数々の受賞を受けるようになりました。
DOCの生産地として最も有名な、Offidaのグロッタマーレエリアに45ヘクタールの土地を有し、DOC OFFIDAの品種を栽培しています。

・アッビナメント
今回のアッビナメントで最初に考えたのは、“香り”でした。アスパラガスの青い香りにはどんなワインが合うのだろう、と思いを巡らせ、芳香品種のマルヴァシアを使ったNaumakos Falerioに決めました。
実際、オーブンから出したばかりのアスパラガスの春の香りが、Naumakosのさわやかで芳醇な香りにピッタリ。また、アスパラガスや、ベシャメル、パルミジャーノレッジャーノなどの繊細ながらも、際立った味わいが交わる一品ですので、ブドウ品種の交わりが楽しめるこのワインがとても良い組み合わせを成していたと思います。


文・写真/Atsuko Niwa