写真家からみえる景色

「残暑の光」

写真で日常を切り取る、びとくらし
「びとくらし」サイトトップのメイン写真をご提供いただいている、嵐祥子さん。
写真家ならではの視点や、景色の切り取り方、毎日の暮らしぶりを写真と文章で伝えいただきます。

「残暑の光」

 

静かな流れになった川を見て、長い梅雨が終わったとホッとしたのもつかの間。暑い夏がやってきました。

朝、ゴミ捨てに外へ出ると、夜のあいだに下がらなかった気温と強い照り返しで、午前中とは思えない暑さが待っています。

立秋を過ぎても気温が上がったお盆休み。そのあとも、日を浴びるとすぐにジュッと焼かれてしまいそうな勢いが、毎日つづいています。

我が家は遠出の予定は立てず、短い時間で外出を済ますように過ごしました。

晴れた日の歩道。
太陽の強い日差しが、家々の塀の壁や道路に、植木や電線の影をくっきりとつくっています。

写真ではコントラストが優しい光景が好みなのですが、残暑の強い光とその影の対比を「模様のようだなぁ」と、おもしろく見ています。

立ち寄った公園に池があり「水辺は涼しいかな?」と近づきました。
周りに植えられた大きな木が太陽から守ってくれていて、木陰がじゅうぶんにありました。

そこからは池の水面に映った木が、鯉の泳ぎでゆらゆらと揺れる様子が見え、目にも涼しく感じられました。

イベントがほとんどないこの夏。何年かぶりに花火をすることにしました。

花火屋さんへ行くと、昔ながらのもの、目新しいもの、たくさんの花火に囲まれて、その種類の多さに目を見張りました。
他のお客さん達も店員さんの説明を受けながら、楽しそうに選んでいました。

ちょっとオマケをしてもらい、景品ゲームをさせてもらって「専門店って楽しいな」と思えた買い物のひとときでした。

夕涼みの時間になり、近くの公園へ出向きました。

久しぶりの花火は、その変化する色や立ちのぼる煙の香りに、こどもより大人がはしゃぐ気持ちになりました。

そしていつのときも最後は線香花火。
パチパチッと火花がはじける小さな音を聞くと、こころ落ち着きます。

その光が消えるまでの長くはない時間、いろいろと想いながら、静かに見守りました。

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Shoko Arashi 嵐祥子

2009年、デジタル一眼レフの面白さを知り「写真を撮ること」に興味を持ち、写真表現大学で作品制作を学ぶ。 その後、ウェディングフォトに従事、2012年からフリーランスカメラマンとして活動中。2015年から一児の母です。

https://arashishoko.localinfo.jp

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