「冬至のころ」

写真家からみえる景色

写真で日常を切り取る、びとくらし
「びとくらし」サイトトップのメイン写真をご提供いただいている、嵐祥子さん。
写真家ならではの視点や、景色の切り取り方、毎日の暮らしぶりを写真と文章で伝えいただきます。

「冬至のころ」

晩秋に入っても「暖かいですね」と挨拶を交わすことが多い、晴れた日がつづいていました。
10〜12月は、七五三参りの出張撮影で神社に伺うことが度々あり、おだやかな気候はとても助かっています。

今年は我が子も七五三祝の年齢にあたるのもあり、新型コロナウイルス感染拡大の影響で参拝がどうなるのか心配していましたが、神社寺院ではそれぞれの感染症対策がなされて、無事に行事がとりおこなわれました。

撮影当日はすこし早めに現地に着いて、人出や境内の様子を下見しています。

午前中の早い時間、神職さんたちが参道やお庭を掃き清められているのに出会いました。
森のように木がたくさんあり、紅葉のあとの落葉もしているのに、隅々まですっきりと掃除され、きれいに保たれています。

そして境内をぐるりと、願いごとが書かれた絵馬の前を通り、こま犬に守られた拝殿の階段をのぼり、お稲荷さんのあざやかな赤い鳥居をくぐると、それだけで元気をいただいた気持ちでいっぱいになりました。

何度も訪れているのですが、その度に「神社の境内って、清々しくて気持ちが良いな」と思いながら、撮影しています。

冬至が近づくころ、太陽の昇る位置が低くなり、15時を過ぎるともう夕方のような陽の光に「師走の独特の気ぜわしさは、日の短さにもあるなぁ」と、寒さと焦りで急ぎ足になってしまっています。

そして、一年のうちで影の長さがもっとも長くなるころで、焦りつつも好きな瞬間でもあります。
その長さは夏至より8倍にもなるそうで、影が自分の身長より長く長く伸びているのを見るのも、それを写真に撮った画も、おもしろいです。

冬至の日、実家に住んでいたときは当然のようにカボチャ煮が用意され、お風呂はゆず湯に入っていました。でも、そういえばここ何年かは「一年で一番夜が長い日だね」と言いつつ、普段の日のように過ごしていたなと、思い返しました。

今年は例年にない疲れが心身に出た人が多いと思いますが、我が家も疲れがなかなかとれずにいます。
いつもよりも真剣に、冬至の厄除けと縁起かつぎの風習を楽しんで、季節の物からしっかり滋養をとり、身体をねぎらいたいなと思います。

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Shoko Arashi 嵐祥子

2009年、デジタル一眼レフの面白さを知り「写真を撮ること」に興味を持ち、写真表現大学で作品制作を学ぶ。 その後、ウェディングフォトに従事、2012年からフリーランスカメラマンとして活動中。2015年から一児の母です。

https://arashishoko.localinfo.jp

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