写真で日常を切り取る、びとくらし
「びとくらし」サイトトップのメイン写真をご提供いただいている、嵐祥子さん。
写真家ならではの視点や、景色の切り取り方、毎日の暮らしぶりを写真と文章で伝えいただきます。
「春のお便り」
今日は晩冬のよう、今日は早春のようと、寒暖がなかなか定まらない季節です。
ひさしぶりに近所の街路樹がすっきりと剪定されて、地面まで日差しをたくさん通し、足もとを明るくしてくれています。
その枝に鳥がたくさん留まっていて、何やらにぎやかだな、と思ったら、メジロの群れがお食事中。
からだはスズメよりも小さいけれど、白く縁取られたお目めはくっきりと、黄緑色の羽は目立ち、メジロだとすぐに判ります。
私が住んでいる地域では、一月の後半ごろには花の蜜を求めて街や公園、庭先に現れはじめ、春を告げる野鳥として親しまれています。
「今年もやってきたねぇ」とワクワクして、息子としばらくその姿を観察しました。
薄いジャケットでもじゅうぶんな、暖かい日の夕方。
家族で今年の初参りをと思い立ち、近くの神社へ行ってきました。
神社に着くと、紅梅、白梅がそれぞれのつぼみがふっくらとほころび、咲き始めているのが目にとまりました。
着いて早々に閉門を知らせる鐘が鳴ったので、足早に参拝を済ませましたが、また満開のころ梅の香りを楽しみに訪れたいなと、開花情報をチェックしています。
あちらこちらで春の気配を感じることが増えてきたある日、郵便受けに一枚の絵ハガキが届きました。
差出人は30年来の親友からで、新しくはじまる生活を知らせる内容でした。
ご時世の影響でしばらく会えていないのですが、友人らしいセレクトの絵柄を見ると、それだけで距離が近づいたように感じ、懐かしい空気につつまれて、あたたかい気持ちになりました。
おしゃべりしたいことがたくさんあるけれど、お返事はパソコンでもスマートホンからでもなく、わたしも手書きの絵ハガキにしようかな、と思います。
寒さが戻り、夕飯の支度にホウレン草の根元を洗う水がとても冷たく感じる日でしたが、もうすっかり春がきたような心地になった、そんな素敵なお便りでした。