旬の野菜でひとつきひとくぎり Italia編

「さやえんどう」 イタリア料理編

旬の野菜、 Italia編をお届けします

毎月お届けしている「旬の野菜で、ひとつき、ひとくぎり」は、和食で「小鉢」になる料理を紹介していますが、「Italia編」では、ワインとあわせたイタリア料理をお届けします。
日本の料理とはひと味違った、イタリア料理での旬の野菜の楽しみ方を、ぜひお試しください。
併せて、その料理にあうワインもソムリエより紹介いただいています。イタリア料理とワインをセットでお楽しみください。
 

イタリアで言う”豆類”

イタリアでは豆類はLegumi(レグーミ)と呼ばれ、スープやパスタ、付け合せにとよく食され、スーパーでも種類多くの豆が袋入りや缶詰で売られています。
もちろん、季節ごとに生野菜として店頭に並ぶ豆類も多く、そのひとつに今回ご紹介するタッコレがあります。
タッコレは皮まで食べることができる豆として知られ、イタリアでは春の訪れ告げる野菜のひとつです。日本ではモロッコインゲンと呼ばれ、長さは20cmから30cmほどでしょうか。茹でたものをグリルしたり、ソースの材料に使ったりします。味わいは軽く甘みがあり、みずみずしい緑の風味を感じることできます。
 

お料理は「Taccole Gratinate  タッコレ グラティナーテ」

タッコレの美味しさをシンプルに楽しむのならば、おそらく茹でたてに塩とオリーブオイルで食べるのが一番なのでしょうが、今回は新鮮な緑に濃厚さをプラスした“グラタン仕立て”にしてみました。
グラタンと言ってもベシャメルソースではなく、イタリアの家庭料理でもよく使われる“パンナ/生クリーム”仕立てです。
お料理用として売られている生クリームに、おろしたばかりのパルミジャーノ・レッジャーノをたっぷり混ぜ込んで、クリームソース使いにしています。本来ならばグレービーソースをかけて表面をしっとりさせて完成なのですが、顆粒のブロードの素をお湯で溶いたもので代用しました。まったりとしたグラタンソースがコンソメスープと混じり合い、タッコレともよくからんだ面白い味わい一皿になりました。豆の緑くささが強く出るお料理が苦手な方にも召しあがって頂けると思います。
 
・材料
4人分(主菜の付け合わせとしての分量)
タッコレ 300g
エンドウ豆(皮付きの重さです) 300g
生クリーム 100cc
パルミジャーノ・レッジャーノ 適量
卵黄  1個分
塩 適量
こしょう 適量
ブロード(顆粒ブイヨンで作ったスープ)  100cc
 
・つくり方
1.  タッコレ、エンドウ豆をよく洗い、筋を取る。それぞれを塩水でしっかりゆでる。
2.  生クリームを小さめのフライパンに入れ弱火で煮詰め、半量程度になった段階で火を止め、すりおろしたパルミジャーノ・レッジャーノ、卵黄をまぜこむ。最後に塩・こしょうをし、味をととのえる。
3.  タッコレを5㎝程度に切りそろえ、皮から取り出したエンドウ豆と共に、2.のグラタンソースの1/3量と混ぜ合わす。
4. 3を耐熱皿に盛り、残りのソースをまんべんなく表面に塗りつける。
5. 220℃に温めたオーブンで10分程度焼く。表面に綺麗な焼き色がついたらオーブンから取り出す。
6. 焼きあがったグラタンにアツアツのコンソメスープをかけ流して出来あがり。
 

あわせたワイン

原産地:イタリア フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州
ワインの名前: Spumante Osé
ワインの種類:DOC Colli Orientali del Friuli
生産者: Vigna Angeli
アルコール度数:12.0%
 
フリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州はオーストリア、スロベニア、クロアチアと接するイタリア北西部の州で、その気候や土壌特性からイタリアを代表する高品質のワインの生産地のひとつとして知られています。
Supmante Osé はフリウリの土着品種であるスキオペッティーノ90%とピノ・ネーロ10%を使った発泡性のワイン。スキオペッティーノはリボッラ・ネーラとしても知られ、カシスやブルーベリーなど赤いフルーツの味わいやトマトの様なベジタブル感があります。
このSupmante Oséは細かい泡が留まること無く、口にふくむとまるでいちごを食べたかと思うほどのフルーツ感が広がります。ほのかな甘さとともに、泡による清涼感と心地よい酸味が楽しめます。
 
・生産者の紹介
igna Angeli は1898年にArturo Marinig氏がフリウリ・ヴェネツィア・ジュリア州に設立し、彼の子孫によって受け継がれる歴史あるカンティーナ(ワイナリー)です。
Schioppettino(スキオペッティーノ)や Ribolla Gialla(リボッラジャッラ)といった、この地ならではの品種で知られるスロヴァニアとの国境近くにぶどう畑を持ち、懸命な情熱をもってぶどう栽培に取り組んでいます。彼らの土地はぶどう栽培が難しいとされるエリアですが、土壌はとても貴重な土質に富んでいます。環境にも配慮した畑づくりに取り組んでいます。
 
・アビナメント
タッコレ自体は味わいのやわらかな緑野菜ですが、グラタンソースには生クリームやパルミジャーノ・レッジャーノが使われ深い味わいを生み出します。
このしっかりとした味わいにSupmante Oséの持つ細やかな泡と軽やかな甘みのあるフルーツ感がうまく調和し、一口食べるごとにOséをまた一口…とお箸(フォーク?)が止まらなくなることうけあいです。
春を感じる味わいの一皿に、春を感じるスプマンテの組み合わせが合わないわけがありません。


Atsuko Niwa 丹羽淳子

イタリア マルケ州在住。現在はワインや蜂蜜を日本に輸出する業務に携わり、翻訳やアテンド業を行う。 出版広告業界を経て、不動産業界の広報・採用業務に携わり、40歳目前に違う世界を見てみたくなりワイン業界へ転身。イタリアワインのエチケットを理解したいと思いイタリア語を習い始めたことをきっかけから最終的に41歳の冬にイタリアに渡り、現在で6年目に至る。 AIS認定ソムリエ、WSET Level2(ワインを理解するうえで不可欠な知識を得ることを目指すイギリスの資格)。

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