旬の野菜でひとつきひとくぎり Italia編

「アーティチョーク」 イタリア料理編

旬の野菜、 Italia編をお届けします

毎月お届けしている「旬の野菜で、ひとつき、ひとくぎり」は、和食で「小鉢」になる料理を紹介していますが、「Italia編」では、ワインとあわせたイタリア料理をお届けします。
毎月同じ食材で日本とイタリアの料理をお伝えしていますが、2月は「水菜」ということでしたがさすがにイタリアでは入手できない為、今回はイタリアならではの食材をご紹介いただきました。
日本でも入手可能な食材ではありますので、ぜひ挑戦してみてください。
ソムリエの資格もお持ちの彼女ならではの、料理にあうワインを紹介いただいています。イタリア料理とワインをセットでお楽しみください。

労力の割には食べられる部分が少ないのが玉に瑕、地中海生まれの野菜

アーティチョークは日本ではチョウセンアザミとも呼ばれ、日本の食卓にはなかなか登場しない野菜の一つだと思います。
私も日本にいるときに食したのはおそらく数回ほどで、フランス料理とイタリア料理での一品としていただいた記憶があります。因みにイタリアではカルチョーフィと呼ばれており、とても人気のある食材で、旬の季節にあたる秋の終わりから春先までは市場やスーパーマーケットで購入できる身近な存在。
それもそのはず、原産地は地中海エリアで古代ギリシャ・ローマ時代以降に品種改良が進み、現在の形になったとか。ここイタリアで愛されている所以ですね。

さて、アーティチョークとはどんな形をしているのでしょうか?
大きな松ぼっくりの様な見た目です。
キク科になり、この“松ぼっくり”の様な部分は蕾だそうで、まさにこの蕾が食用する部位になります。この蕾の長さが10~15㎝ほどとなかなかの大きさで、うろこの様に折り重なって見える萼(がく)が蕾の中心部まで続きます。

どの部分を食べるのかというと、この萼の部分。外側の萼は非常に硬いため、おおよそ半分の大きさになる程度にまで取り除きます。指で触って、柔らかくなったかな?とわかる程度まで、迷わず剥き切ってしまうことがポイント。

また蕾の頭の部分も棘の様になっており食べられません。ですので、ここもザックリと切り取ってしまう必要があり、最終的には写真2の様なコンパクトな大きさになります。イタリアで初めて調理した時は、全く加減がわからず「勿体ないから」と萼をきれいに取り切らず、また頭の部分も1/3程度しかカットしなかった為、食べるときに苦労した哀しい思い出があります。

お料理は「Spaghetti con carciofi e pancetta アーティチョークと燻製パンチェッタのスパゲッティー」

味わいは少しコクのあるお豆さんやゆり根のよう、シンプルな調理法がアーティチョークの美味しさを引き立たせます。
実際に口にしてみないとなかなかわからない味わいですが、見た目のワイルドさに比べるととてもシンプル。
日本で食べたことのある味で例えると、お豆さんや、ゆり根に似ていますが、独特のコクのある味わいは他に例えようがないほど美味で、イタリアに住む日本人のお友達も多くが虜になっています。
副菜(コントルノ)として、オーブンでのグリルや茹でた物に塩とオリーブオイルをかけて食べるスタイルが一般的で、私もこれが最も美味しい食べ方だと認識していますが、今回は折角なのでイタリアらしく、パスタ料理にしてみました。というのも、つい最近ローマにて所用があり、その際ローマで食べたアーティチョークのパスタがとても美味しくて(ローマ料理の一つになります)、その味を思い出しながら作ってみました。

・材料(4人分)
スパゲッティー  320g
アーティチョーク 5個 
玉葱       1個
燻製パンチェッタ(ベーコン) 100g 
白ワイン     50㏄
パルミジャーノレッジャーノ 30g
エクストラヴァージンオリーブオイル 大匙2
にんにく     1かけ
塩        適量
コショウ     適量
レモン      1個

・つくり方
1.  アーティチョークは萼を半分ほど取り除き、上部1/2を切り落した後、半分に切り分け、蕾中心部にある柔らかい繊毛部分を取り除きます。
茎の部分を5㎝ほど残し、櫛切りしたものを、半分に切ったレモンを入れて水をはったボウルに1時間ほど浸し灰汁抜きします。
2.玉ねぎは薄切りにし、ベーコンも適当な大きさに切ります。
3.深めのフライパンにオリーブオイルと包丁で潰したにんにく入れ火にかけ、にんにくの香りが立ったところで玉ねぎを入れ炒めます。
玉ねぎが色づいたらアーティチョークを加えてよく炒め、全体に火がまわったところで白ワインを注ぎ15分ほど蒸し焼きにします。
4. アーティチョークが柔らかくなったところで火を止め、ボウルに移し、ブレンダーなどを用いて半分程度をクリーム状にします。
5. 同じフライパンにベーコンを入れ炒め、そこに4とパルミジャーノレッジャーノを加えます。全体がなじみクリーム状になったらソースの完成です。茹でたてのスパゲッティーと少量の茹で汁、ソースをからめて出来上がり。

あわせたワイン

原産地   :イタリア リグーリア州
ワインの名前:BOBOLI DOC Colli di Luni
生産者   :AZIENDA AGRICOLA GIACOMELLI
アルコール度:14.0%
年度    :2015 年

ティレニア海側にトスカーナ州からフランスとの国境にかけて細長く位置するリグーリア州。海風を存分に受けるエリアで白ブドウ品種のヴェルメンティーノを使ったワインが多く生産されています。この地で食される魚介料理によく合い、完熟した桃などの果実感に加え、海を感じるミネラルの風味と味わいがしっかりしているのが特徴です。このワインは8カ月間ステンレスタンク内で熟成させ、その内6か月間はシュール・リー(澱の上で発酵)、ボトリング後に2カ月の瓶内熟成を経ています。

・生産者の紹介
トスカーナ州との州境近くに畑を持つジャコメッリは生産本数が年間8万5千本と非常に小さなワイナリーですが、ヴェルメンティーノに対する造詣は非常に深く「魂と心」をスローガンとする素晴らしい生産者です。
彼らの作るワインの評価も高く、AISソムリエ協会のワイン品評では2018年版でも受賞しています。

・アッビナメント
アーティチョークの独特の香りが、薫り高いワインにとてもよく合います。
ワインを口に含むと非常に複雑で幾層にも重なった味わいが感じられ、これがアーティチョークのコクとパンチェッタの燻製香、パルミジャーノレッジャーノの味わいと交わり良いハーモニーを紡ぎだします。
ワインのヴィンテージは2015年とまさに今を飲み逃したらもう飲めないというギリギリの最上の飲み頃の状態でしたので、少しワインの味わいが勝ったのが実際の感想です。

文・写真/Atsuko Niwa


Atsuko Niwa 丹羽淳子

イタリア マルケ州在住。現在はワインや蜂蜜を日本に輸出する業務に携わり、翻訳やアテンド業を行う。 出版広告業界を経て、不動産業界の広報・採用業務に携わり、40歳目前に違う世界を見てみたくなりワイン業界へ転身。イタリアワインのエチケットを理解したいと思いイタリア語を習い始めたことをきっかけから最終的に41歳の冬にイタリアに渡り、現在で6年目に至る。 AIS認定ソムリエ、WSET Level2(ワインを理解するうえで不可欠な知識を得ることを目指すイギリスの資格)。

http://amaregiappone.com
https://www.facebook.com/amaregiappone.Atsuko.Niwa/

http://amaregiappone.com 記事一覧を見る

カテゴリー内の最近更新された記事

  • vol.15 暮らしを整えてQOLを高める提案

    高齢期におけるモノの「整理収納」の方策

    高齢者の「整理収納」において、高齢者一人では難しい作業も、サポートしてくれる誰かがいれば「できる」ことが増えます。高齢者の「整理収納」は、高齢者と、家族と、周囲の人々と、みんなで向き合うテーマだと考えます。

  • vol.14 高齢者の「整理収納」の課題と特性

    本研究を通して分かった高齢者の「整理収納」の課題

    本研究を通して、高齢者の「整理収納」における様々な課題が明らかになりました。少子高齢化が進行する日本において、課題に対する解決策や高齢者の「整理収納」作業をサポートする方法を考えてみましょう。

  • vol.13 高齢者と共に「整理収納」をして分かったこと

    高齢者の「整理収納」の特性とは

    モノの処分の判断や、整理の進め方などの片付けの作業において、高齢者特有の性質はあるのでしょうか。実際の作業を通して、高齢者と他世代の「整理収納」の違いを読み解きます。

  • vol.12 新しい住まいと整理収納の工夫

    高齢者施設での生活を読み解く

    「住み替え」経験者の現在の施設での暮らしについて紹介しています。「住み替え」時の準備や持参品など、様々なヒントを得ましょう。

  • vol.11 住み替え経験者の声

    住み替えのきっかけとモノの整理

    今回は、自宅から施設への住み替え経験者の話をもとに、住み替えを決断したきっかけや、家の処分・モノの整理方法についてまとめています。

  • vol.10 高齢期に住みたい場所

    「遺品整理」の経験から読み取る「生前整理」の必要性

    高齢になった時にどこで暮らしたいか、生前にどのような整理を行いたいか、家族に何を残したいか。「生前整理」はモノの整理だけでなく、住み替え場所を決めることや、家族に自分の意志を伝えることも含まれると考えます。

  • vol.9 高齢期の「整理収納」に関する意識調査

    人生の最期に向けた準備や意識

    身の回りのモノの整理や遺産相続についてなど、生前に自分がしておきたいことを考える時間はとれていますか。アンケート調査から「終活」の準備への意識を読み解きます。

  • vol.8 遺品整理業者に聞く「生前整理」の準備

    遺品整理の実情とは

    高齢者が行う「生前整理」と遺族が行う「遺品整理」。終活は、高齢者本人だけでなく、家族みんなで取り組むテーマです。

  • vol.7 高齢者住み替えアドバイザーが語る高齢期の整理

    高齢者の「住み替え」のタイミング

    高齢者の「住み替え」はどのようなタイミングが良いのでしょうか。また「住み替え」に伴うモノの移動や処分はどのように行われるのでしょうか。高齢者住み替えアドバイザーから学びます。

  • vol.6 「モノ」への意識に関する調査

    家の中のモノの量とモノを捨てること

    家の中のモノの量やモノを捨てるということに関して、アンケートをもとに性別や年齢別に比較しています。家の中でどのようなモノが多く存在し、どのようなモノが捨てられないのでしょうか。

  • vol.5 暮らしのなかのモノの変化

    「生活財生態学」とは?モノを生態学的にとらえる

    戦争や産業の発展などの社会情勢の変化は、家庭内のモノにも大きな影響をもたらしていました。日本の家庭に保有される生活財を調査した「生活財生態学」の研究から、モノの変遷を読み解きます。

  • vol.4 「整理」に関する書籍の変遷

    書籍から読み解く「整理収納」への関心

    今では広く使われるようになった「断捨離」や「終活」といった言葉は、いつ誕生したのでしょうか。「整理」に関する出版書籍から、時代とともに変化する言葉やターゲット層について読み解きます。