イタリア生活で見つける「びとくらし」
イタリアでの日常生活の中にある、すこしだけ幸せに感じたり、すこしだけリラックスできたりするような「びとくらし」的な出来事を、マルケ州アンコーナ住まいのライターが紹介します。
イタリアに暮らす彼女の話しを聞いていると、度々、イタリアでは日本と全く違う時間が流れているように感じることがあります。しかもとても豊かな時間でした。時間の流れの違いの中に豊かさの理由が隠されているように思えてなりません。ぜひ、この理由を一緒に探してみませんか?
イタリアでの住まいかた (前編)
ひとびとの暮らしに直結する住まいですが、
イタリアの住まいは日本のものとはもちろんちょっと異なります。
新しい街をどんどん開発し、新しい住宅が雨後の筍の様に存在する日本と違い、
古くからある住宅に住み続けるのがイタリアでの基本的な住まいかたのスタイル。
街の美しさを保つことももちろん、愛着心も自然と生まれてきます。
ビジネスの中心地として知られる大都市以外は、
まだまだ多くの人たちが、生まれ育った街を出ずに生涯を終えていくように思うここイタリア。
イタリア人の家に対する愛着がなんだかとても強く感じるのは私だけではないように思います。か
一軒家タイプはとても珍しい住まいの形
一戸建てタイプか、マンションやアパートといった集合住宅タイプ。
日本での住宅スタイルはの多くは大きくこの2タイプに分けることができ、
大都市部では集合住宅が多いものの、“狭小”住宅と呼ばれるような戸建住宅も存在し、
準都市部から郊外部へと向かうに連れ、一軒家としての戸建住宅が多くなってきます。
イタリアでの住宅というと、殆どが集合住宅タイプ。
恐らく、かなり住民数が少ない地方都市であっても、いわゆる街の中心部に住まう人たちの住いは集合住宅タイプで、一軒家スタイルの住まいはとても少ないのではないでしょうか。
イタリアの都市部の外れや、郊外では独立した住宅をよく目にするかと思いますが、
実はこの建物の多くも一軒家ではなく、複数世帯が共同で住む住宅であることが多くあります。
ローマやミラノと言った観光地の中心部にもそこかしこに立ち並ぶ昔ながらの建物も、
その多くは個人宅のアパートメントが入る集合住宅である場合がよくあります。
観光地として有名でもない街であっても、古くからの建物がのきを連ねている風景によく出会うことがあります。
日本でなら「こんな古い建物は取り壊し、新しく容積率いっぱいでマンションを建てて再開発だ」と、新しい建物に姿を変えてしまうのが常ですが、
ここでは多くの街まちで建築統制を掲げており、建物の建て替えが簡単に出来ない仕組みになっています。ですので、基本的に街の中心部で「新居」を得るチャンス非常に乏しく、
多くの人が既存の住宅にリフォームを施して住み続けているのです。
ちなみに、今私達が住むコンドミニオ(イタリアで言うマンション)は建築が1980年。
入居前に全改装を行っています。
イタリア人が東京や大阪などの街を見て「すごい!」と口々に言う気持ちもよくわかりますね。
だって、ここでは基本的に存在しない現代的な都市の形ですから。
イタリアでの住まいかた (後編)へ続きます。3月18日掲載予定です。