イタリア時間でびとくらし

イタリア時間「お祝いしよう」

イタリアでの日常生活はどんな感じなのでしょうか。
ファッションや美術品、数多くの世界遺産で知られるイタリアですが、もちろん”日常”も存在しています。
そんな日常から「びとくらし」的なトピックを、マルケ州アンコーナ住まいのライターが紹介します。

嬉しいことはお祝いしましょう

やっとで少しだけリラックスできる雰囲気が戻ってきたイタリアから書いています。
2月の中旬すぎからコロナウィルスがイタリア北部で猛威をふるいはじめました。
その頃、だれが今年の春を失うなんて想像していたでしょうか。
2020年の「春」の季節を楽しむことが許されなかった私たち。

イタリアの春の訪れは、まずミモザの開花と共にやってくるFesta della donna(女性のフェスタ)で始まります。その後、3月19日にはイタリア版父の日である守護聖人サン ジョゼッペの日、そしてだいたい3月末から4月の頭にやってくる、イタリアで最も大切な日、Pasqua (イエス・キリストの復活祭)がやってきます。まさにお祝い続きです。
学校や企業の年度区切りが日本のように3月末では無いため、人生の「くぎり」的な時期ではありませんが、長い冬を超えてようやく暖かな陽射しがあふれる春の訪れは、フレッシュな気持ちにさせてくれることはここでも変わりありません。

時間が1時間早まり夏時間へと変わります。
夏時間が始まると、一気に日照時間が長くなり、日が暮れる時間もぐんと遅くなり、海岸線にあるお店も冬期の長い休業期間を終えて一斉に開き出します。
気候的には暖かな冬でしたが、このどんよりと不安に落ち込む気持ちを少しでもクリアにするため、陽気があふれる春の季節の到来は今年のイタリアでは特に待ち遠しいものになりました。

イタリアでのお祝い事

さて、イタリアでのお祝いごとについて少しお話しましょう。
よく知られたものでは、ナターレ(クリスマス)、カポダンノ(お正月)や復活祭などがあり、また、先に書いた守護聖人 サン ジョゼッペの日である父の日と、5月の第2日曜日の母の日もお祝いします。
なぜサン ジョゼッペの日が父の日なのかと言うと、ジョゼッペ(Gioseppe)とは、英語ではJoseph:ヨセフ。イエス・キリストの母である聖母マリアの夫のヨセフ、いわばイエス・キリストの父親が守護聖人の日が3月19日で、その日を”父の日”としてお祝いすることになっているからです。面白いですよね。ですので母の日の存在を考慮して作られた6月の父の日はイタリアではお祝いされません。
また、キリスト教徒が多い国ですので、子供の成長に合わせて行うバッテージモ(洗礼式)や、クレージマ(堅信式)などのお祝い事もよく開かれ、親戚や親しい友人たちから招待を受けることもます。
そして、お祝いの定番といえばお誕生日。こちらでも勿論お誕生日のお祝いはしますが、大きな違いがあります。お誕生日のお祝いは「歳を取る人」が主役であり主催者であるということ。
子供の場合だと両親がパーティの準備をし、お友達を呼んでお祝いをするわけですが、大人になって誕生日を祝うには自分自身で会を企画するというケースが多くなります。
日本ではお友達が集まってお誕生日会を開いてくれますよね?もしくは「誕生日はみんなで飲みに行ってお祝いするよ!」みたいな流れになることが多いかと思います。ですので、もし誕生日を祝おうと言ってくれる人がいなかった場合は、残念ながらさびしく一人で過ごすことになるのが関の山…。
こちらではというと自分でパーティの企画することが普通ですので、基本的に寂しい思いをすることはありません。
私も何度か「自分誕生日会」にお呼ばれしました。参加者に対して会費を徴収してる場合も多いですが、主催者が全額お支払いをしてくれる場合も少なくなく、ゲンキンな私は「こんな誕生日会ならやりたくないな…」と思ってしまった次第です。ちなみに、私の主人は私と知り合う前までは、毎回「自分主催・自分支払い」で誕生日会を開いていたとか。
「そこまでして祝ってほしいものなのか?」と意地悪く思ったのですが、そもそも会を開く意図が「人生の節目を一緒に祝ってくれて、そして今まで自分を支えてくれてありがとう」というもの。このような考え方の違いが出てきて当たり前ですよね。

パーティでは踊ることも当たり前。招待客を楽しませるために、ホストは色々と用意します

これは納得のプレゼント

お祝い事に欠かしてはならないものはここでも変わらずプレゼントです。
結婚式などでは日本と同様にお金をお包みしてお渡ししますが、金額的には日本の相場よりも少し抑えめ。若い人なら特にでしょうが、食事代プラスアルファ程度の場合も多く、これもエリアや関係性によって大きく変わって来るようです。
洗礼式や堅信式には金製品をプレゼントするなどのしきたりもありますが、なかなか本人が欲しいと思っているようなモノを渡すことは国は違えど難しさは同じ。
ただ、イタリアに来てほほうと納得したのが「合理的にプレゼントを成立させる」方法の存在です。
実に簡単な方法です。
「欲しい物リスト」が書かれた紙が渡されて、そこから自分たちの予算に合わせてプレゼントするものを決めて渡す、というのがありますよね。
それの進化版とでもいいましょうか、とある銀行の口座番号などを渡されるのです。
自分の銀行口座を伝える人もいるでしょうし、そのモノを購入するお店の専用口座番号を利用する人、また「欲しいものリストサイト」といったサイト上の口座を開く人もいます。
プレゼントされる側があらかじめ予定している支出に対して、プレゼントを予定している人に対して協力を願うものなのです。新婚旅行に行くためだったり、キッチンを作り直すためだったり、好きな絵を買うためだったり、用途は様々。
私が初めて知ったのは、お友達のカジュアルな結婚パーティにお呼ばれした際でした。
「会費は戴かないパーティなんだ。でも、コルシカ島に新婚旅行を予定していて、もし良ければそこにカンパしてくれたら嬉しいな」と、旅行代理店の口座番号を渡されたのです。

こうすることによって、送る側は考える手間が省け、不要なものを送ってしまうリスクも無くなりますし、プレゼントを受け取る側にとっても、欲しいモノを受け取れるというメリットがあります。
口座番号を渡すなんてちょっと無分別でみっともないと感じたのですが、利用してみるととっても便利。当日にプレゼントを持っていくという不便も無くなりますし、なんと言っても相手に必ず喜んでもらえることが嬉しいポイントです。
日本人の私達からすると、お金を要求することがはしたなく感じてしまうかも知れませんが、実は無駄な負担を相手にかけさせないとても優しい方法だなと感じています。
ちょっと見方を変えること、大切ですね。

義父の70回目のお誕生日は盛大に。お友達もお呼びして素敵なシーフードレストランで開かれました


Atsuko Niwa 丹羽淳子

イタリア在住。現在はワインや蜂蜜を日本に輸出する業務に携わり、翻訳、日本語教師なども徐々に行っています。

出版広告業界を経て、その後15年弱、不動産業界の広報・採用業務に携わる。40歳目前に違う世界を見てみたくなりワイン業界へ転身。イタリアに興味を持ったのは、様々な種類があり個性豊かなイタリアワインをよく飲む中で、イタリアワインについているエチケットが自分で読めたら、もっとワインを愉しめるのではないかと思いイタリア語を習い始めたのがきっかけ。 その後、3ヶ月間イタリア旅行へ行き、アモーレと出会い、41歳の冬にイタリアに渡り、現在に至ります。

AIS認定ソムリエ、WSET Level2(ワインを理解するうえで不可欠な知識を得ることを目指すイギリスの資格)。

http://amaregiappone.com

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