写真家からみえる景色

「ハレの日の写真」

写真で日常を切り取る、びとくらし

「びとくらし」のトップのメイン写真をいつもご提供いただいている、嵐祥子さん。
いつもの日常も切り取り方、感じ方次第で特別な日になることもたくさんあります。
そんな切り取り方を少しのぞかせていただきます。

「ハレの日の写真」

冬から春へ移り変わる季節、あたたかな陽射しを感じる日が増えてきました。

近所の庭先や通路沿いには、木や草花が多く見られます。季節が進むにつれ、水仙、梅、ミモザ、沈丁花、モクレンなどがだんだんと開花していくのを、息子と「もうすぐ咲くね」「咲いたね」と楽しんでいます。

時期がくるとあたりまえのように咲き、季節を告げてくれる草花。
あっという間に過ぎていく1・2・3月に、つかの間、立ち止まって息つぎをする時間をくれています。

カメラマンとしての仕事では、卒園・卒業式などお祝いごとの撮影がひと段落したところです。レンズを通して、たくさんの喜ばしいシーンに出会えました。

式へ向かう前、子どもたちが着慣れた制服の胸元にコサージュやリボンをつけてもらう姿は、日常からハレの日に変わる魔法のような瞬間です。

あちこちにある「おめでとう」の文字やお祝いの飾り。
大きな花器に豪華な生け花が飾られた壇上。
入退場に選ばれた曲やその伴奏。
そしてたくさんの拍手。

それらの美しいものに包まれて、旅立ちを迎える様子。そのひとつひとつを写真におさめていきました。

式が終わり、それぞれに記念写真を撮る人たちを見ていると、自身がお祝いしてもらったときの出来ごとや、記念写真を思い出します。

特別な日を祝ってもらえた思い出があること。その経験こそがはなむけだったんだと、あらためて感謝しています。

この節目に、いつもの日々を大切に過ごせるようにふり返り、そして桜が咲くころには、また新たな気持ちでスタートしたいと思っています。


Shoko Arashi 嵐祥子

2009年、デジタル一眼レフの面白さを知り「写真を撮ること」に興味を持ち、写真表現大学で作品制作を学ぶ。 その後、ウェディングフォトに従事、2012年からフリーランスカメラマンとして活動中。2015年から一児の母です。

https://arashishoko.localinfo.jp

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