写真家からみえる景色

「夏の日」

写真で日常を切り取る、びとくらし

「びとくらし」のトップのメイン写真をいつもご提供いただいている、嵐祥子さん。
いつもの日常も切り取り方、感じ方次第で特別な日になることもたくさんあります。
そんな切り取り方を少しのぞかせていただきます。

「夏の日」

じゅうぶんに覚悟していたつもりでも、何度も「あついあつい」と言いたくなる、うだるような暑さです。

自宅のベランダで、干したそばから乾いていきそうな洗濯物。干し終わるまでの10分ほどで汗だくになっています。

そんな暑い中でも元気に咲く夏の花、そのひとつに「アベリア」があります。

白いラッパのようなちいさな花をたくさん咲かせているこの花は、よく公園や道路などの街路樹に使われていて、名前は知らなくても花は見たことがあるひとも多いと思います。

生まれ育った場所、何度か引越した先のそれぞれの土地、いま住んでいる家のすぐそばにも植え込まれ、いつも変わらず夏の到来を教えてくれています。

セミの合唱、つめたいカルピス、スイカ割り、盆踊りの浴衣、カキ氷…夏の風物詩はいろいろとありますが、初夏から真夏を過ぎても長く咲いているこの花を見て「夏だなぁ」と感じています。

アベリアの咲く公園を歩き、坂の上にある小学校のそばまで行きました。
夏休みで誰もいない運動場。片隅には「さるすべり」の木が植えられています。濃いピンクの可愛い花が咲くのを見るのが、毎年たのしみです。

他にも、朝のうちだとあざやかな青いろの「つゆ草」や、いろんないろの「あさがお」に出会えます。

真夏日がつづく中、可能なかぎり外出を控えて過ごしていました。
そう言いながらも8月も終わりにちかづくと、カレンダーには、花火大会、あちこちで開催された夏祭り、水遊びと、夏らしい出来ごとが並んでいました。

汗をかき、上り坂を長く感じた気持ち。
日差しの強さ、空に浮かぶ雲の厚さ。
木陰で風がとおっていくときの心地良さ。

カレンダーには書き込まれない夏の日の一場面が、こころの中に残っていきます。

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Shoko Arashi 嵐祥子

2009年、デジタル一眼レフの面白さを知り「写真を撮ること」に興味を持ち、写真表現大学で作品制作を学ぶ。 その後、ウェディングフォトに従事、2012年からフリーランスカメラマンとして活動中。2015年から一児の母です。

https://arashishoko.localinfo.jp

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