写真で日常を切り取る、びとくらし
「びとくらし」のトップのメイン写真をいつもご提供いただいている、嵐祥子さん。
いつもの日常も切り取り方、感じ方次第で特別な日になることもたくさんあります。
そんな切り取り方を少しのぞかせていただきます。
「それでも季節は色づく」
晴れた日が多く、なんども雲ひとつない青空を見上げた11月。ひなたにずっと出ていると、太陽の日差しが痛いほどでした。
街ではクリスマスの飾りつけが始まっていますが、日中の暖かさに薄手の上着で過ごしていると、年末が遠いように感じています。
ただいま写真業界は秋の繁忙期、朝早い時間に家を出ることが多いです。
太陽がゆっくりとのぼってくるのを横目に、朝の支度をさくさく進めていきます。
そしてすこし急いだぶん、コーヒーをゆっくり飲む時間をつくり、ひと息ついてから出発です。
車の免許がないわたしは、移動で郊外へ向かうとき、たびたびバスを利用しています。
車窓から見える、農家さんのどっしりとおおきな家々。そのそばで、稲刈りあとの田んぼや、休耕地に植えられたコスモスの花が、朝日に照らされてきらきらと光っているのが見えました。
そんな景色を見ながら、こんなに暖かいと今年の紅葉はどうなるのかなと考えていましたが、中旬になるころには山のあちこちで、赤や黄、オレンジ色に葉を染めた木が目を引き始めました。
台風の影響なのか、すこし茶色く傷んでいる部分もありますが、それでも日を追うごとに色づいていく景色に、秋が訪れたことを感じています。
モミジやイチョウが落ち葉になってじゅうたんのようにひろがり、わたしたちの目を楽しませてくれ、そして自然の栄養となり、また季節がめぐっていく。
なんども見てきたはずの四季のサイクルですが、やはり紅葉はうつくしいなぁと、慌ただしい日々のあいまに、こころ惹かれています。
息子の保育園へお迎えに行ったとき、お芋掘り遠足で収穫されたサツモイモが、廊下に並べて干されていました。
お芋がゴロゴロと並んだその光景に、思わず「ふふっ」と笑みがこぼれると同時に、こんな季節の光景が、いつまでもくりかえされる世の中であったら良いなと、つよく思いました。