写真家からみえる景色

「深呼吸」

写真で日常を切り取る、びとくらし

「びとくらし」のトップのメイン写真をご提供いただいている、嵐祥子さん。
いつもの日常も切り取り方、感じ方次第で特別な日になることもたくさんあります。
そんな切り取り方を少しのぞかせていただきます。

「深呼吸

新型コロナウイルスのニュースが取りざたされてから、2ヶ月ほどが経ちました。
仕事にも影響が出たり、頭に入れたい情報量が多かったりで、心身ともに緊張している時間がだんだんと増えているな、と感じていました。

そんなとき友人が教えてくれた、シンプルなリラックス方法「深呼吸」。

気持ちが良いとわかっていても、つい忘れてしまいがちなのですが、煮詰まってきたときには意識して、深呼吸をするようにしています。

先日の週末。
ここ神戸市では、行政からの外出自粛要請は出されていないのですが、レジャー施設の臨時休業や、イベントの中止で、自粛ムードがただよっています。

そんなときですが、用事のついでに「おいしいものを食べよう!」と、家族3人で外食に出かけました。

場所は、神戸市中央区の三宮。
商業施設、繁華街、ビジネス街、観光地が近距離にまとまっていて、平時であればたくさんの人が行き交う街です。

いまは旅行者の姿をほとんど見かけなくなり、新生活準備で華やぐ3月のはずが、やはり人出は減っているなと見て取れました。
それでも街には、いつもどおり春物が用意されたお店が開き、地下街の通路にはお花がたくさん飾られていました。

ランチのお店は、子づれでも気兼ねなく入れる、お気にいりのところにしました。
食事中は、ざわざわした気持ちをすこし横において、それぞれが食べたいもの、飲みたいものを注文し、おなかいっぱいにして気晴らしをしました。

そのあと、同じ街にある公園「東遊園地」へ立ち寄ることにしました。

もうすぐ公園に着くというあたりで、どこからともなくお花の香りが届きました。
存在感が強いその香りは、春の香木「沈丁花 (じんちょうげ)」。すこし見ごろを過ぎているものの、白とピンクの可愛いお花が咲いていました。

ひさしぶりに、そのかぐわしい香りに出会えたことがうれしく、胸にしっかりと吸い込みました。

公園の広場から聞こえてくる、遊んだり散歩したりする人たちの元気な笑い声。
皆さんの明るく楽しい様子を見ていると、こちらも肩からスッと力が抜けるようでした。

そんな気分転換をして地元にもどり、週に一度の習慣、スーパーへ買い出しに行きました。
たくさんの品物が(マスク以外は)、いつもと変わらず並べられていることに安心と、必要なものが普通に買えることが、いつも以上にありがたいと感じています。

その日のデザートに、旬のミカン「デコポン」を購入し、夕食後にいただきました。
「わぁ、良い香りだね」と、皮をむいた瞬間からデコポンの香りが部屋に広がりました。

その香りにつつまれると、こころにも栄養がいき渡るようで「すー、はー」と、大きく息を吸いこみました。

まだしばらくは続きそうな、パンデミックの状況。
すぐに状況が変わるかもしれませんが、どうか可能な限り、
いつもどおりに暮らせますように、と願っています。

仕事でパソコンの前に座ったとき、休憩でお茶を飲むとき、寝る準備のとき、ゆっくりと深呼吸。
日々の動作の中でこころを落ちつかせながら、気持ちが負けないように過ごしていきたいと思います。

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嵐 祥子 Arashi Shoko

2009年、デジタル一眼レフの面白さを知り「写真を撮ること」に興味を持ち、写真表現大学で作品制作を学ぶ。

その後、ウェディングフォトに従事、2012年からフリーランスカメラマンとして活動中。2015年から一児の母です。

arashi.shoko@gmail.com

https://arashishoko.localinfo.jp/

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