「大掃除は心を込めて」

美徳と暮らしでbitokurashi

bitokurashiの主宰者小林朗子さんは整理収納コンサルタント。
単に住まいの整理を助けるという役割で終わるのではなく、整理するターゲットを住まい、ひと、街とへと広げ全体を俯瞰し、ひとの暮らしについて深く研究されています。
このコーナーでは小林さんが考える整理収納とは、彼女が提案したいbitokurashi (美徳と暮らし、人と暮らし)とは何かをライターによる書き起こし形式でご紹介します。
みなさんが、このbitokurashiの思いを感じてくださりますように。

※当サイトの主宰に対してインタビューを行い記事にしています。よって、敬称を使用しています。

今年もやってきました、この季節

いよいよ2020年も残すところ後一ヶ月となります。
今年はやり残した感が色濃く残る特別な年になった方が多くいらっしゃると思いますが、やはり1年の締めくくることは大切です。
整理収納コンサルタントという立場がら、年末の恒例行事として大掃除の方法について質問をよく頂戴します。年に一度の大掃除となると、どこから手を付けるか、どのように段取りを取るか、とっても大切で頭を悩ましますものね。
私がまずお伝えしたいことは「大事なのは毎日の積み重ね」です。
と言うのも、そもそもわたしの場合、依頼を受けてお客様のご自宅などのお片付けのお手伝いをさせて頂いています。その仕事の後、片付いていない自分の部屋に戻り、もう一度自分のために掃除しなければいけない、なんて事態はどうしても避けたいもの。
帰宅した時にキレイな空間でほっと一息つけるように、と出かける前のルーチンワークとして、簡単なお片付けをするようにしています。

一番使う場所だから毎朝のルーチンに

どこの片付けを毎日出かける前にするかと言うと、水回りです。
キッチン、洗面所、おトイレ。この三ヶ所はかならず掃除します。
特別な洗剤を使ったり、時間がかかることはしなくて良いのです。
キッチンならば、洗った食器類はサッと拭いて食器棚に整理し、流し台の水気を拭き取る。
洗面台も汚れの大敵は水滴ですので、水しぶきを拭き取ります。この時、私が使うのは「キッチンペーパー」もしくは「セルロースシート」。以前は雑巾を使っていましたが、後で洗って干したりすることは朝の時間は何かと面倒に感じるもの。ティッシュペーパーだと薄手過ぎて毛羽立ちますし、厚みのあるキッチンペーパーなら耐久性もあり、また水気をちょうど良い感じに含むので拭き取りに便利です。「セルロースシート」は拭き取ってすぐに乾いて、繰り返し使えるシートです。お風呂場あがりにさっと水を拭き取るにも便利なシートです。
おトイレについては、専用のクリーナーシートを使って掃除します。
身支度を済ませたあと、出かける前にこのお掃除を行うようにいしています。今となっては、このルーチンを行わないと1日が始められない、というくらい大切な朝の作業になりました。
そうそう、出かける際に必ず玄関のたたきも片付けます。
いらない靴は靴箱へ戻し、住まいの顔となる玄関はいつでも綺麗に保てるようにしています。
朝から4ヶ所も片付けることは実際は大変なことなのですが、洗面台の掃除にキッチンペーパーを使っているように、楽できることは楽をする。無理をせず自分の出来る範囲のことをするように心がけています。
朝の片付けルーチン、出かける前の15分は心を休めるのにも良い時間です。

わたしの大掃除とは

欠かさず水回りを掃除していると汚れもたまらず年末になったからと言って、頑固な汚れと戦う必要はありません。他にも、網戸や窓枠なども日頃から簡単に掃除をするようにしているので、大掃除だからと息巻くこともありません。
とは言うものの、大掃除とは日本では文化として受け継がれてきたもので、その作業は日本人にとってはとても大切なものだと認識しています。
昔ならば「煤払い」といって、大掃除の日に、天井や敷居の隅に残る煤を掃っていました。
これは単に住まいを綺麗にするというだけではなく、家を清める、浄化する、ということにつながっていたと言われています。
日本古来のしきたりには何かしらの意味があり、昔のひとびとの知恵や思いから今の時代に引き継がれてきていると考えます。

毎日の片付けや掃除のおかげで「大掃除」は大仰な行事ではなくなります。
しかしながら、過ぎ去る年に感謝しまた新しい年を清く迎えるために心をこめて住まいを片付けること。
お部屋の隅々まで拭き掃除を行い、住まいのお清めをすることが私にとっての「年末の大掃除」で、一年の区切りは欠かせないものだとひしひしと感じられるものです。

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先週、冷蔵庫を久々に掃除しました。というのも、冷凍庫に霜がびっしりと付いていて効き目が悪くなっているかのように感じられたからです。霜取りもしたので時間はかなりかかりましたが、終わってみるとスッキリと気持ち良いじゃありませんか。
これを毎週とは言わずとも、定期的に行えばもっと楽に掃除ができるということですよね。頭ではよく理解できましたが、身体が言うことを効いてくれないのは私だけでは無いと願いたいです。

1月1日公開予定の次回では、整理収納コンサルタントならではのお話しをご紹介します。
お楽しみに。
みなさんも小林さんに質問したいことがありましたら、ぜひメールやインスタグラムでのDM、メッセンジャーなどでお送りください。

聞き手と書き手:Atsuko Niwa

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Akiko Kobayashi 小林 朗子

不動産関係の企業数社にて広告・広報業務を担当、在職中に整理収納アドバイザー1級資格を取得。 その後、武庫川女子大学大学院修士課程にて生活環境学を研究し、現在は整理収納コンサルタントとして、一般家庭や事務所の整理収納業を担う。その傍ら、使い手の無くなった着物や帯を新しい形へとアップサイクルする”Ofukuwake”や、各種セミナーや書籍監修などで活動。coordinationの代表、株式会社喫茶部代表。

https://www.coordination.work

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