「使ってみてわかる良さ」

bitokurashiの主宰者小林朗子さんは整理収納コンサルタント。
単に住まいの整理を助けるという役割で終わるのではなく、整理するターゲットを住まい、ひと、街とへと広げ全体を俯瞰し、ひとの暮らしについて深く研究されています。
このコーナーでは小林さんが考える整理収納とは、彼女が提案したいbitokurashi (美徳と暮らし、人と暮らし)とは何かをライターによる書き起こし形式でご紹介します。
みなさんが、このbitokurashiの思いを感じてくださりますように。

※当サイトの主宰に対してインタビューを行い記事にしています。よって、敬称を使用しています。

ホウキの再発見

コードレス掃除機の便利さについてこのびとくらしサイトで紹介させてもらったばかりで、”舌の根も乾かぬうち”にと恐縮なのですが、先日、ひさびさに使ってみて「これはとても便利かも」と感じた道具がありました。
それは「箒(ホウキ)」です。
そのホウキと言えば、学校時代の教室掃除や、自宅でならば庭先などの掃除に使うことが真っ先に思い出されますが、私が感心した場面はホウキを使っての室内清掃。
過日の家屋の様に畳敷きで、いたる所に木材が利用された様式でならばホウキの出番も多かったのでしょうが、カーペットやクッションフロアタイプのフローリングが殆どとなった現在の住居だと、多くの場合が掃除機で事足りてしまうことかと思います。それこそ、ルンバの様な自動掃除機の存在も普遍的になっているくらいですから、いかに家事仕事に手間をかけないか、ということが掃除作業において重要視されるポイントであることがわかります。もちろん、私自身も掃除機は常に身近な存在としてあるために、何の疑問も持たずに日常的に使っていますが、昔からあるホウキを手に取って試してみると、不思議とその素晴らしさを手の平から伝わるように感じることができました。

cocoparisienneによるPixabayからの画像

古いけど良いって嬉しい

ホウキの良さを力説すると、「なんで今更ホウキなの?」と不思議に思われるかも知れません。
とにかくまず第一に「音が出ない」こと。
掃除機も静音仕様が沢山出ていますが、それえも無音とは言えず、少なからずともモーター音は存在します。それがホウキだとサッサッと掃く音以外の機械音は出ません。音が出ないということは、一緒に過ごす家人や子供たちの生活の邪魔をしませんし、またご近所さんへの気遣いなく好きないタイミングでササっと掃除をすることが出来ます。集合住宅だと、早朝や深夜に掃除機を使うのは憚れますが、この問題はすっきり解消です。
また、配線コードや電源を考えなくて良くて使いやすく、往々にしてコンパクトですので、小さな範囲を掃除したいときにスムーズに処理ができてストレス知らず。
そして、ゴミを吸い取る掃除機と違い、掻き出すのがホウキですので、細かく絡まったコードにたまった埃などを掻き出すことができ、その取れた埃を目で見て確認できるのも掃除をした満足感が得られて嬉しいのですよね。以外にもホウキの掻き出す力は秀逸で埃も残らず綺麗になっていました。
自宅全体の掃除すべてにホウキで対応するということは、慣れていないとなかなか難しいことかと思いますが、使う時間帯や場所、ポイントではホウキを使ってみるというのも良いかも知れません。掃除機の用に排気も無いですので、アレルギー体質の方の部屋の掃除にだけはホウキを使ってみたりなど、色々なアイデアで古い道具なれど、最新機器に負けない威力を発揮してくれる可能性を再発見しました。
ホウキにも色々なタイプあるようですが、今回私が使ってみて良いなと感じたのはススキを使ったタイプ。埃をうまくからめとることができて気に入りました。
ぜひ私も一つお気に入りのホウキを見つけて、自宅に常備したいと思います。

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-**-*-*-*

なんで今さらホウキについて力説?小型のコードレス掃除機のほうが絶対に便利ですよ、とお話しを伺っている最中に反論していた私ですが、その後、すぐに冷凍したグリーンピースの豆を床にぶちまけるという失態をしでかし、ホウキの重要性が身に沁みました。我が家には室内用と室外用のホウキとちりとりのセットは常備しています。

12月1日公開予定の次回では、
お楽しみに。
みなさんも小林さんに質問したいことがありましたら、ぜひメールやインスタグラムでのDM、メッセンジャーなどでお送りください。

聞き手と書き手:Atsuko Niwa

当サイトの画像やイラスト、文書等の無断転載・無断使用はお断りいたします。ご使用をご希望される場合はお問い合わせください。

Akiko Kobayashi 小林 朗子

不動産関係の企業数社にて広告・広報業務を担当、在職中に整理収納アドバイザー1級資格を取得。 その後、武庫川女子大学大学院修士課程にて生活環境学を研究し、現在は整理収納コンサルタントとして、一般家庭や事務所の整理収納業を担う。その傍ら、使い手の無くなった着物や帯を新しい形へとアップサイクルする”Ofukuwake”や、各種セミナーや書籍監修などで活動。coordinationの代表、株式会社喫茶部代表。

https://www.coordination.work

記事一覧を見る

カテゴリー内の最近更新された記事

  • vol.9 高齢期の「整理収納」に関する意識調査

    人生の最期に向けた準備や意識

    身の回りのモノの整理や遺産相続についてなど、生前に自分がしておきたいことを考える時間はとれていますか。アンケート調査から「終活」の準備への意識を読み解きます。

  • vol.8 遺品整理業者に聞く「生前整理」の準備

    遺品整理の実情とは

    高齢者が行う「生前整理」と遺族が行う「遺品整理」。終活は、高齢者本人だけでなく、家族みんなで取り組むテーマです。

  • vol.7 高齢者住み替えアドバイザーが語る高齢期の整理

    高齢者の「住み替え」のタイミング

    高齢者の「住み替え」はどのようなタイミングが良いのでしょうか。また「住み替え」に伴うモノの移動や処分はどのように行われるのでしょうか。高齢者住み替えアドバイザーから学びます。

  • vol.6 「モノ」への意識に関する調査

    家の中のモノの量とモノを捨てること

    家の中のモノの量やモノを捨てるということに関して、アンケートをもとに性別や年齢別に比較しています。家の中でどのようなモノが多く存在し、どのようなモノが捨てられないのでしょうか。

  • vol.5 暮らしのなかのモノの変化

    「生活財生態学」とは?モノを生態学的にとらえる

    戦争や産業の発展などの社会情勢の変化は、家庭内のモノにも大きな影響をもたらしていました。日本の家庭に保有される生活財を調査した「生活財生態学」の研究から、モノの変遷を読み解きます。

  • vol.4 「整理」に関する書籍の変遷

    書籍から読み解く「整理収納」への関心

    今では広く使われるようになった「断捨離」や「終活」といった言葉は、いつ誕生したのでしょうか。「整理」に関する出版書籍から、時代とともに変化する言葉やターゲット層について読み解きます。

  • vol.3 高齢社会の実態-家族構成と一人暮らし-

    高齢社会の実態をデータから読み解く

    日本の高齢社会の実態を理解したうえで、高齢者の「整理収納」における課題を考えます。

  • vol.2 既往研究から探る -高齢者と住み替え-

    「高齢者」「住み替え」「モノの整理」に関する先行研究のまとめ

    高齢者の住み替えやモノの整理に関して、これまでの研究ではどのようなことに着目し、どのような結論を見出しているのでしょうか。過去の研究内容を分かりやすくまとめました。

  • vol.1 高齢社会における「整理収納」

    高齢期に向けた整理収納の課題とQOL向上のヒント

    暮らしにあふれるモノは、人生の節目ごとに見直しが必要です。高齢期には生前整理や遺品整理と向き合う場面も増えますが、自分らしく整えることが、安心と心地よい暮らしにつながります。

  • bitokurashiリニューアルのお知らせ

    みなさま、はじめまして。あるいはお久しぶりです。「bitokurashi.com」をご覧いただき、ありがとうございます。 2017年7月にスタートした「びとくらし」は、2025年9月に内容やコンセプトをリニューアルをさせ […]

  • 今月の旬を味わう「みかん」

    季節がかわるごとに、いろいろな食材を目にします。 「旬」の食材をいただくことは、その美味しさはもちろん、自然に共調し心身ともに健やかにしてくれます。 しかしながら、毎日を慌ただしく過ごしていると、いつの間にか時間が目の前 […]

  • イタリア時間「年の終わりは忙しなく」

    イタリア生活で見つける「びとくらし」 イタリアでの日常生活の中にある、すこしだけ幸せに感じたり、すこしだけリラックスできたりするような「びとくらし」的な出来事を、マルケ州アンコーナ住まいのライターが紹介します。 イタリア […]