折形と出会って6年、そしてこれから

暮らしのそばにある折形

折形と出会って6年、そしてこれから

日本には数多くの伝統文化が継承されています。

私達の生活で自然と受け継がれ、その由来に気づかず慣れ親しんでいるものも多くあり、
その一つに「折形-おりかた」があります。

「折形-おりかた」は、あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、実は日本人としての私達の生活やアイデンティティにも深く関係している伝統文化です。
“少しでも多くの人にこの「折形-おりかた」を知って欲しい“との思いで、折形の文化を学び広める活動をされている小池博美さんに、その想いや魅力についてお伺いしました。

折形は暮らしの中にあり、現代の暮らしに合った「折形」がこれからも私たちの暮らしをより、豊かにしてくれるものだとの思いも「折形」にのせて伝えたいメッセージです。

「暮らしのそばにある折形-おりかた」では、お伺いしたお話しをインタビュー形式で毎月お届けします。

インタビュー第ニ回 日本から出て知った大切なこと、そして折形との出会い もあわせてお読みください。

-「折形」探求するとしても、なかなか求道者も少なくて難しいように思われますが。

素晴らしい出会いが私を待ち受けていました。

とにかく専門家も少なく、古書はともかく現代の私達が簡単に理解できる数が限られています。

折形の専門家、師匠と呼べる方は恐らく日本にお二人しかいらっしゃいません。

礼法家の故山根章弘氏、そして、もうお一方が大阪の高麗橋で明治8年に創業された祝儀用品店 荒木蓬莱堂の故荒木 真喜雄氏です。

折形を学ぶ上で、荒木 真喜雄氏の数冊の著書に出会うきっかけがあり、折形という文化に向き合われる姿勢に大変共感を受けました。

その後、私自身は故山根章弘氏のあとを継がれた、山根一城氏に2年間お世話になることができ、「折形」についての入口開いていただきました。
そして現在は、荒木蓬莱堂の荒木隆弘氏にさらなる折形について「広がり・高める・深める」の機会をいただき、現在私の活動へとつながらせていただいています。

-2014年に「折形」に出会って、もう6年が経ちましたね。

荒木 真喜雄氏の御著書や、荒木蓬莱堂さんのブログページを拝見したこところ、折形の隠されていた歴史を開放すべくとでも言いましょうか、古書や参考文献などを独自に読み解かれ、惜しげもなく一般に広く公開されていました。

その歴史についての説明はもちろん、折形の印刷用の型紙も用意されているではありませんか。

これには本当に驚きました、こんな方がいらっしゃるのか、と。

そして、これこそ私が目指している折形伝承の形だと共鳴したのです。

4代目の真喜雄氏は既にお亡くなりになられ、現在は5代目の隆弘氏が当主に就かれているわけですが、「ぜひ荒木さんご自身のお言葉で折形について知りたいです」と強くお伝えして、講義をしてくださるようになりました。

-「折形」の何がそこまで小池さんを印象強く心を動かすのでしょうか?

出会った時に探求してみたいと心動かされたのですが、私はこの「折形」という文化が日常の暮らしに存在してほしいことを願っています。

特定の人だけによって使いこなすものではなく、広く、多くの方に暮らしに取り入れて欲しいと強く感じています。特に若い世代や子育て世代、そしてお子様達に触れてほしいですね。

というのも、「折形」を通して、人や物、事に対する大切な「思いやり」を感じていただけると思います。それが暮らしの中で取り入れることの大切さがすっと心に落ちていく感覚があります。

-和紙を折って綺麗に包むことで丁寧さを表現することが「折形」ですか?

「折り目正しく」という言葉がありますが、綺麗にしようと折りの辻褄(つじつま)を合わせ、見てくれだけを良くしようとすることは、折形の本意では有りません。

綺麗に見せる事でなく、相手の方を思い、心をこめて「さぁ、どうぞ」とお渡しするときに、どのような気持ちになってもらえるかを想像して神聖な気持ちで折り、包むことが大切なのです。

日本人の思想が理解できるという点で、わかりやすい例を挙げてみましょう。

そもそも一つの物に対して一種類の折形しか存在しません。花で言うと、梅、桃、桜、種類ごとに折形は変わります。

なぜなのかと言いますと、例えばまだ蕾の状態の梅の枝を梅用の折形で包んで相手の方に贈るとします。

相手の方はその折形を見て「あぁ、枝には梅の花が咲くのだな」と、贈り主に質問せずとも理解することが出来、「何の枝ですか?」など無粋なことを聞かずに済むわけです。

贈り主から相手の方に恥をかかせない思いやりの心がここにあり、相手のことを常に慮る(おもんばかる)日本人の美徳の存在をしっかりと理解することが出来ます。

このように、他にも沢山、皆さんに知って頂きたい折形の教えがあります。

日本の暮らしと共に育んできた、和の心を理解せずにいることが、とても勿体ないことと感じます。

少しでも多くの皆さんに、折形を通してこのことに気づいていただくことが私の願いです。

次回は実際の「折形」の様子をお伺いしたいと思います。

<お話しをうかがって…>

この「折形」を後世に伝えていく、という熱いお気持ちをインタビュー中にひしひしと感じました。いままでは公けには教室を開かれてはしていませんでしたが、今回、気持ちを新たにされたことで、このインタビューにも答えていただいています。小池さんの心意気をこの文面から感じていただければ嬉しく思います。

(聞き手と書き手:Atsuko Niwa)


小池博美さんのお教室が阪神電車西宮駅にある喫茶部ガレージにて開催されます。
ご興味のある方はぜひご参加ください。

【お教室】折形(おりかた)−暮らしの中で愉しむ季節の折形−

詳細はこちらのブログを御覧ください。[ブログはこちら

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Hiromi Koike 小池博美

2014年に「折形」と出会い、現在は大阪の「荒木蓬莱堂」の4代目店主、荒木隆弘氏に師事。 古書や文献を頼りに自身も「折形」の研究に励み、現在はその魅力を少しでも多くの人に知ってもらうべく、セミナーなどで講師業を行っている。

https://instagram.com/so1126mh?utm_medium=copy_link

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