美徳と暮らしでbitokurashi

「大切なものを見つけること」

bitokurashiの主宰者小林朗子さんは整理収納コンサルタント。
単に住まいの整理を助けるという役割で終わるのではなく、整理するターゲットを住まい、ひと、街とへと広げ全体を俯瞰し、ひとの暮らしについて深く研究されています。
このコーナーでは小林さんが考える整理収納とは、彼女が提案したいbitokurashi (美徳と暮らし、人と暮らし)とは何かをライターによる書き起こし形式でご紹介します。
みなさんが、このbitokurashiの思いを感じてくださりますように。

※当サイトの主宰に対してインタビューを行い記事にしています。よって、敬称を使用しています。
整理収納コンサルティングとしての気づき」です。まだお読みでない方はぜひリンクからご一読ください。

整理収納への一般的なイメージ

ここ数年、「整理収納」という言葉はよく耳にされる機会が多いと思います。

本来「整理」は1970年代から書籍化され、はじまっているものですが、「整理収納アドバイザー」という資格がうまれ、私の様にアドバイザー資格を取得された方もたくさんいらっしゃいますね。みなさん多方面でに活躍されていますね。
整理収納をポジティブに受け取ることができるようにと、多くの場合が機知に富んだワードを用いて紹介されていますよね。
私が整理収納コンサルタントとしてご自宅などのお片付けに伺って気づいたことの一つに、「整理収納」するためにはとにかく不要なものを「捨てる」ことが必要だ、と認識されている方が多くいることです。
しかし、その「捨てる」という行為に対してなんらかの引っ掛かりを感じ、なかなかお片付けに取り掛かれないという方がよくいらっしゃいます。
家にあふれている「もの」は、思い入れがあるものが多いですよね。たとえそれが他の人には伝わりづらい「もの」であることも。
そういうご自身の思いがある「もの」があふれかえってしまい、一人でどう片付ければよいのかわからないという方に対して、「(収納するスペースを確保するために)まずは不要なものはどんどん捨ててしまいましょう」というアプローチは、すこし乱暴すぎるように私は感じています。
捨てることが決して整理収納ではないのです。
そして捨てるという言葉自体も、ご自宅の整理収納をする際には適していない言葉だと私は感じていて、いつも「手放す」と表現しています。どこか自分の意志でケジメをつける意味合いがあります。
こう言葉を変えるだけで、整理収納が単なる捨てる為の作業ではなくて、次に進むためのステップとして何かちょっとしたイベントの様に感じられるのが不思議ですよね。

大切なものは何ですか?

整理収納には「もの」を手放して引き算することが大切なステップの一つだと、前のコラムでお伝えていますが、では気持ちよく手放すためにはどうしたらよいのでしょうか。
私がまずお客様とお会いしてお願いすることは、ご自身やご家族にとって大切なもの、大切にしたいものは何なのかを見つけていただくことです。
例えば新婚旅行の時に一目ぼれで購入した素敵なティーカップが宝物だとしましょう。
では、このティーカップが他のものの存在によって隠れてしまったり、その美しさがかすんでしまうのではなく、いつでも綺麗に見えるように飾るためはどうしたら良いのでしょうか。
綺麗に見せるためには、その周りも片付けられていることが必要ですよね。
では、その周辺を片付けるためには周りに何があるのかを把握し、それらが本当に必要なものなのか、さらには、いつ、なぜ必要なのかなどを考えていきます。
慣れない作業かと思いますので、筋道を立てて会話を交えながら一緒に考えていくのが私の役目です。
会話を通して大切にするべきものが明確になり、実際にいろいろなご自身の持ちものを目の前にしたとき、片付けるにはどうするべきなのかが理解してもらいやすくなります。
片付け方ですが、たくさんのシャツをお持ちの場合の際は、色目や形、サイズ感などでグループ分けをします。
そして、それぞれのグループの中でよく着るものや、大切なものなどを確認していきながら、気持ちの整理も行ってもらいます。
全てを並べて見ることによって、今まではよくわかっていなかった「自分に必要のないもの」を見つけてもらいやすくなります。
ひとつひとつ段階を経ていくことで、手放すことに対しての整理をされていきます。
そうすることによって、整理収納における引き算を進めることができるのです。
そのためにも、手放すべき理由をひとつずつ丁寧に探していくことが大切な過程になると考えていてます。

Andrew MartinによるPixabayからの画像

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

家の片づけをすると、驚くほどのゴミ袋が最終的に残って驚くことが多いですが、確かに捨てることをまず考えるとちょっと憂鬱になりますよね。一度は自分の手元にあったものはなかなか手放しにくいものです。こうやってひとつずつ気づいていくことで、自分の気持ちも、そして「もの」の気持ちも安らぐのでしょうね。

8月1日公開予定の次回では、整理収納コンサルティングとしての小林さんの思いについてお伺いしたいと思います。
お楽しみに。

聞き手と書き手:Atsuko Niwa

アイキャッチ画像はFotoRiethによるPixabayからの画像です。

当サイトの画像やイラスト、文書等の無断転載・無断使用はお断りいたします。ご使用をご希望される場合はお問い合わせください。

 


Akiko Kobayashi 小林 朗子

不動産関係の企業数社にて広告・広報業務を担当、在職中に整理収納アドバイザー1級資格を取得。 その後、武庫川女子大学大学院修士課程にて生活環境学を研究し、現在は整理収納コンサルタントとして、一般家庭や事務所の整理収納業を担う。その傍ら、使い手の無くなった着物や帯を新しい形へとアップサイクルする”Ofukuwake”や、各種セミナーや書籍監修などで活動。coordinationの代表、株式会社喫茶部代表。

https://www.coordination.work

記事一覧を見る

カテゴリー内の最近更新された記事

  • 今月の旬を味わう「みかん」

    季節がかわるごとに、いろいろな食材を目にします。 「旬」の食材をいただくことは、その美味しさはもちろん、自然に共調し心身ともに健やかにしてくれます。 しかしながら、毎日を慌ただしく過ごしていると、いつの間にか時間が目の前 […]

  • イタリア時間「年の終わりは忙しなく」

    イタリア生活で見つける「びとくらし」 イタリアでの日常生活の中にある、すこしだけ幸せに感じたり、すこしだけリラックスできたりするような「びとくらし」的な出来事を、マルケ州アンコーナ住まいのライターが紹介します。 イタリア […]

  • 「掃除のちから」

    bitokurashiの主宰者小林朗子さんは整理収納コンサルタント。 単に住まいの整理を助けるという役割で終わるのではなく、整理するターゲットを住まい、ひと、街とへと広げ全体を俯瞰し、ひとの暮らしについて深く研究されてい […]

  • 今月の旬を味わう「柚子」

    季節がかわるごとに、いろいろな食材を目にします。 「旬」の食材をいただくことは、その美味しさはもちろん、自然に共調し心身ともに健やかにしてくれます。 しかしながら、毎日を慌ただしく過ごしていると、いつの間にか時間が目の前 […]

  • イタリア時間「まだまだ遠い日本」

    イタリア生活で見つける「びとくらし」 イタリアでの日常生活の中にある、すこしだけ幸せに感じたり、すこしだけリラックスできたりするような「びとくらし」的な出来事を、マルケ州アンコーナ住まいのライターが紹介します。 イタリア […]

  • 「使ってみてわかる良さ」

    bitokurashiの主宰者小林朗子さんは整理収納コンサルタント。 単に住まいの整理を助けるという役割で終わるのではなく、整理するターゲットを住まい、ひと、街とへと広げ全体を俯瞰し、ひとの暮らしについて深く研究されてい […]

  • 写真とエッセイ「アサギマダラに会いに」

    写真で日常を切り取る、びとくらし。 写真家ならではの視点や、景色の切り取り方、毎日の暮らしぶりを写真と文章で伝えいただきます。 スマートフォンの普及で写真を撮る機会が多くなった昨今ですが、何を写すか、どう感じるか、など、 […]

  • イタリア時間「幸せのはかり方」

    イタリア生活で見つける「びとくらし」 イタリアでの日常生活の中にある、すこしだけ幸せに感じたり、すこしだけリラックスできたりするような「びとくらし」的な出来事を、マルケ州アンコーナ住まいのライターが紹介します。 イタリア […]

  • 今月の旬を味わう「ざくろ」

    季節がかわるごとに、いろいろな食材を目にします。 「旬」の食材をいただくことは、その美味しさはもちろん、自然に共調し心身ともに健やかにしてくれます。 しかしながら、毎日を慌ただしく過ごしていると、いつの間にか時間が目の前 […]

  • 「私の考えるおかたづけ」

    bitokurashiの主宰者小林朗子さんは整理収納コンサルタント。 単に住まいの整理を助けるという役割で終わるのではなく、整理するターゲットを住まい、ひと、街とへと広げ全体を俯瞰し、ひとの暮らしについて深く研究されてい […]

  • 写真とエッセイ「森の道」

    写真で日常を切り取る、びとくらし。 写真家ならではの視点や、景色の切り取り方、毎日の暮らしぶりを写真と文章で伝えいただきます。 スマートフォンの普及で写真を撮る機会が多くなった昨今ですが、何を写すか、どう感じるか、など、 […]

  • イタリア時間「不合理な日常茶飯事」

    イタリア生活で見つける「びとくらし」 イタリアでの日常生活の中にある、すこしだけ幸せに感じたり、すこしだけリラックスできたりするような「びとくらし」的な出来事を、マルケ州アンコーナ住まいのライターが紹介します。 イタリア […]